大きな大きなおうちに一人ぼっちで住んでいて
お父さんもお母さんも既にあちらに旅立って
絵本を読み続ける
大きな大きなおうちの母屋のほんの片隅に
小さな小さな居場所を作って機械と暮らす
ただそれだけの子供
まるで必要とされていない廃材をかき集めている変な人間
その程度の認識とその程度の憐憫
彼は其れを求めているのだろうか
当たり前の必要性をかき乱して抵抗器具(無駄)を取り付けて
声にならない電子音の塊をノイズの鍋の中にゆっくり放り落す
当たりと外れと勘違い間違い探しと不公平に
不満など漏さない進化を目指すそれだけのために僕は拾い作り続ける
奇麗な奇麗なお声で囀る玩具(がんぐ)が欲しくて
探しに探し求めて結局見つからなかった
子供は泣きじゃくる
ぼろぼろぼろぼろ崩れる廃材の雨に身を投じ
ざくざくざくざく斬れてゆく皮膚割れた爪が落ちて
塩の滴滴る
捨てられたモノたちの死体の中でただ温度(ねつ)を放ちながら選別する
その程度の免罪とその程度の悪徳
彼は何を求めているのだろうか
ありきたりの法則性をかなぐり捨て失敗作(ゴミ)を割り捨てて
成功(マル)にならない駄作達の塊を永遠に埋まらない暗闇に投げ捨てる
乖離ときらいと金字塔論点外れと流れ弾に
悪意など属さない皮肉と欺瞞の理由(わけ)だけを目指し僕は笑い語り続ける
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