「リン、シャーし…」

「ん。」

「あ…あぁ…サンキュ…」


彼は不思議そうに彼女を見る。

それに彼女も気付いたらしい。

「何よ。」

「い、いや何でもない…」


彼女はあれから文句を言わなくなった。
諦めようとしているのだ。





「なぁ、最近何かあったか？」

「…別に何もないわよ。」

「ならいいんだけど…」


――優しくなんてしないでよ…
期待しちゃうじゃない…







「リンちゃん、元気ないけどどうかした？」

そう心配するのは親友のミク。ツインテールにしている綺麗な髪が特徴だ。


「まぁね…」

「レン君かぁ。」

―図星。

「っ///」

「あんなにアピールしてるのにね～」

――アピール？
私はアピールしてたの？

「ちょ、どこ行くの？リンちゃん？」


―私だったんだ。
勇気も出さずにアイツの事を奪おうとしてたのは私だったんだ――。


なら、少しだけ勇気を出してみよう。

ほんの少しだけ、好きだって…言おう。






「グミ、帰る…」

「レン、ちょっといい？」

怖い。怖い。けど…

「んじゃあ先に帰ってるね～!!」

ウインクしてグミは教室から出ていった。

教室には彼と彼女の２人しかいない。


「あっあのねっ!!」

「あっあのさ!!」

沈黙。

「レッレンからどうぞっ!!」

「呼び出したのリンだろ!!」

「なっ、男ならハッキリ言いなさ…」


ほんの一瞬、唇が触れた。
「かっ彼女いるのにキキキっ///」

「彼女なんかいねーけど。」

「はぁっ!?じゃあグミちゃんは何なのよ!!」

「グミ？あれ、知らねぇの？いとこだけど。」


――は？

「っええええええっ!!!?」

―つまり…私の勘違い!?
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいっ!!

「で…リン、彼女になってくれる？」


「っはい!!」

そういう時期なの
溺れたいの
愛しのメランコリー


fin．