いきなり病院から連絡があって取る物も取り敢えず駆けつけた。

「…元気じゃないの…!」
「俺が怪我したなんて言って無いし、第一怪我したなら他の人が連絡してるだろ。」
「それもそうね…。」
「レイ、俺暫く戻れないから。」
「え?やっぱり何処か怪我したの?」
「俺以外がボロボロだから。」
「ああ…そっか、そうよね…じゃあ何か必要な物あったら取って来るから教えて。」

ゼロが無事だったのは嬉しいけど、ゼロは浮かない顔をしてた。周りがボロボロって事は助けに行った友達も怪我したって事よね…?前みたいに思い詰めないと良いけど…。

「えーっと、取り敢えずは着替えと…それから…。」
「レイ?」
「え?あ、頼流さん!お久し振り…でも無いか、数日振り…って、大丈夫?!何か
 朝日を浴びた吸血鬼みたいな顔色してるけど?!」
「どう言う意味だよ?」
「You look pale.(顔真っ青です。)」
「色々とね…。」

溜息混じりでスタスタ歩き出すのを早足で追い駆けた。別に追い駆ける必要も用事も無いと言えば無かったんだけど、途中でぶっ倒れるんじゃないかとも思ったから。そう言えば頼流さんはよく一人で居るって言ってたっけ。もしかして迷惑かな?

「私居ない方が良いかしら?」
「え?」
「だって、一人が好きなんでしょう?大学でそんな事言ってなかった?」
「集団で居るよりは静かなのが好きって意味。」

立ち止まって振り返ると左手をスッと差し出した。

「わん?」
「違う!お手してどうする?!」
「中にはそう言うの好きな人も居るじゃない。」
「…お望みなら飼ってやろうか?」
「私そう言う趣味は無いから。」

呆れた様に笑うと右手をそっと繋がれた。やっぱり前と同じ冷たい手。顔真っ青だしまた眠ってないのかな?それとも緊張してるのかな?

「大丈夫?またドMみたいに寝てないの?」
「ドM言うな。」
「手冷たいわよ?ちゃんと寝てる?ちゃんと食べてる?そうそう、この前ネットで
 『快適安眠抱き枕・すやっとおさつちゃん』って言うの見付けて…。」
「何検索してんだよ?!」

愛想笑いしてないのと、手を離さないって所から、取り敢えず私は嫌われてはいないらしい。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

コトダマシ-54.お望みなら飼ってやろうか?-

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※勿論冗談ですが『ポチ村おさつ』は描いてますw

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投稿日:2010/11/16 11:29:03

文字数:922文字

カテゴリ:小説

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