明日ばかりを見つめる君にとって 自分は何に値するのか
  さりげなく夢を辿るユニコーンの輝きは いつになく増しているような気がするよ
  さらなる跳躍を試みる度 自分は孤独に行き詰まる
  初めての出逢いを起こせば 今君自身が何かに取り残されたように
  大切なものを置き忘れたまま 足はもう次を目指している

   誘惑の甘い汁でもなく 禁断の果実でもない
  そんな動揺のものじゃないことに 駆り立てられてゆくように
  自分の道を歩きゆく 後ろめたさも残さずに
  通り過ぎた跡には 乾ききった砂漠が生まれる
  その無表情な光景に 一体何を求めればいいのだろう

  見上げる瞳の奥ゆかしさ 哀れみの快楽がたまらなく
  突き上げの鋭角は 逃避行の表れの様
  夜間飛行のそのとめどなさに 人は君を“嘆きのユニコーン”と呼ぶだろう

   見つめ過ぎて 自分の原型をとどめていないのですか ?
  思い込んで 勝手に増幅させてゆくのですか ?
  ああ 白髪をなびかせ なす術もないはずなのに
  何故にそこにとどまろうとしない

   そこに何があるというのですか ?
  何を追い求めているのですか ?
  その言葉が今の君に とってもお似合いだよ

  冷たい表情の表れ 人目を避けて旅の予行を望んでいるの ?
  両辺対等思惑の異なり 見受けられるの そのままさらけ出しているよ
  “待つことだけがすべてじゃない”その想いを受け止めておくよ 
  それ故に見失ってゆく自分の姿を その水晶には映したくないだろう

   自分で落ちてしまった井戸の暗闇で
  宇宙を見上げ嘆きをあげる“悲しみのユニコーン”

   そっと目を閉じてごらんよ
  “努めることがすべてじゃない 想うことが大切なのだから・・・”

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  • 非営利目的に限ります
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ユニコーン

閲覧数:92

投稿日:2009/11/18 10:21:42

文字数:765文字

カテゴリ:小説

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