初音ミクを使っていつか仕事にするのが夢だった
昔から大好きだった。

中学生の頃、
お年玉をはたいて無理して買った「初音ミク」
でもいまだにパーケージも開けてない
パソコンもその他の機材もないし買うお金もないからいまだに未開封…
ごめんよミクさん…
でもいつか自立して自分でお金を稼げるようになったら…

高校時代
クラスメイトA「何書いてんのー?www」

クラスメイトB「初音ミクw萌えーってやつ?きもw
陰キャが好きなもの代表って感じw」

だけどそれでも好きだったから…
でも

母「悪いけど母さんの片腕じゃ貴方を大学に行かせてあげる余裕なんてないの」

…

卒業後

「高卒〜?今どき大学も行ってないし特に資格もないとなると正直うちで雇う余裕は…悪いね」

いつか

「ごめんねうちも不況で人をたくさん雇えるほどの余裕が…ごめんね」

初音ミクを使って

「はぁ…お前さぁやる気あんの?お前見たいな奴他の誰も拾ってくれないよ?
そんなだったらもう明日から来なくてもいいよ」

いつか…

…

…

先輩A「お前何見てんの?」
先輩B「初音ミクw懐かしw子供の頃は俺も見てたよwおまえいまだにこんなの好きなの?w
オタクっぽいもんなwいい加減社会人なんだからこんな幼稚な趣味は卒業しろよwww」


はぁ…

「ただいまミクさん…なーんてね」

誰もいない部屋に向かって呟く
いる訳もない初音ミクに向かって


…
…
…

社会人
母親「あんた会社クビになったんだって!?
明日からどうするの?」

「首っていうかうちの会社無くなったんだよまた別の仕事探すよ…
だからしばらくほっといてくれよ」

母親「仕事探すなんて言って一日中アニメばかり見て過ごしてるだけじゃ無い!
はぁ…いつかちゃんとした大人になってくれると思っていたのに…
どこで育て方を間違えたのかしら…
いまだに家にアニメのポスターなんて貼って

「大人としてやる事ちゃんとできるようになってから好きな事やって夢見なさいよ
一人前になれないうちはアニメだ漫画だって辞めなさい!」

「……うるせぇよ!!大体誰のせいで仕事できねぇと思ってんだ!テメェが大学にも行かせらんないからこんなことになってんだろが!

最後まで責任持てない金だってろくに稼げねぇババァが結婚してガキなんか産むんじゃねぇよ!!!いいから出てけ!!」

母親「…!!」

あぁ…行ってしまった…
でも一番言われたくなかったことを一番身近な人に言われてなんていうか…
一番言われたくなかったこと



大人になった今もパッケージも未開封のまま埃を被って燻っている家の初音ミク…

こんなマスターじゃもし現実に初音ミクがいてもきっと呆れられて嫌われるだろうな
他の才能のあるマスターのところに行きたいに決まってる…

(…もう、俺なんかの手元にいつまでも置かずに他のマスターの元へ売ってしまおうか…?
その方がミクの為、かもしれない…)

でも…
やっぱり売れなかった、
ただの執着なのかもしれない
それでもここでミクを売ってしまうのは、
何かとても大切なものを失うことのような気がして…
無理だった


数ヶ月後——

新しい仕事が決まった、
給料はギリギリだった
とても貯金なんてできる余裕はなかった

何十万円のパソコンやさまざまな機材代なんて夢のまた夢

それでも俺には…

挿絵挿入A
(スマホにニコニコ動画と初音ミクの曲を表示してそれを聴いて幸せそうな主人公)

がやがや…

新聞のニュース
今月もまた物価高↑いまだ先の見通しに明るい兆し見えず…

はぁ…

カツカツの給料で携帯代の支払いは1ヶ月遅れだ…

この携帯が止まったら初音ミクとの距離が、
また遠のくように感じてしまった

あの時母親に言われた言葉が俺を締め付けた

回想母
「やる事やってから好きなことをやりなさい」

…
携帯が止まったら…
携帯代を支払えなくなったらまた更にミクとの距離が遠ざかるような気持ちになって胸が張り裂けそうに痛くて…苦しかった…

…初音ミクなんてどこにもいないし自分を助けてくれたりしないんだって現実を見せつけられたようで痛くて痛くて痛くて…

もし仮にいてもミクに夢を見させてあげるどころか社会性がなくて自分の事すら碌に面倒を見られない自分が嫌だった
もしいたら確実に嫌われて愛想を尽かされる気がした
だからある意味初音ミクが現実の存在じゃなくて良かったのかもしれないと思った

あぁ…これがオタクの現実逃避か…
これが依存…なんだろうか?

もしも病名がつくのなら初音ミク依存症なんて病名が自分には着くのかな?なんて…
大丈夫そんな病気ないから

だからいくらでもキミのことを想ってもいいよね?想うだけなら…

現実にいないからこそ、
キミにこんな自分を否定されなくて済むんだって
そう想ったらちょっとだけ心が軽くなった

ぼくは、何かに縋りたかっただけなのかもしれない
そのきっかけの存在がたまたま初音ミクだっただけ

そんなぼくの弱さをもしも初音ミクが存在してたら一体どんなふうに想うんだろう…?

あぁ…少しだけ疲れたな…もう現実に疲れた
自分の存在価値の無さと向き合う日々に疲れた
それを突きつけられ続ける日々も…


挿絵B
(督促状や携帯会社からの書類と側で眠るマスターの絵)


…

…

…

(ピー…ピー…ピー)

心電図はまだとある病室のとある誰かが生きていることを示すようにその鼓動の動きを示していた…

母親「うぅ…うちの子はなぜ目を覚さないんでしょうか?どこも悪くないならなぜ…?もしどこか悪いのなら正直に言ってください!お願いします!うぅ…」

医者「…お母さん…
どうか落ち着いてください…
定期的に常にあらゆる検査をして異常を探してはいるのですが、
本当に身体のどこにも異常が見当たりません…
なぜ意識がないのかも、なぜ目を覚まさないかも分かりません」

母親「ならもっと設備の整った病院に転院させるだけです!!本当に医者なんですか、役立たず!!」

医者「…うちは最新の医療設備の整った国内…いや世界的に見ても類を見ない有数の大学病院です
酷な現実を突きつけるようで大変心苦しいのですが…うちで見てダメなら他のどこで見てもらっても原因は分からないと思います」

医者「ただ一つ言えることはまだ生きている心臓は動いているということです、
我々も全力を尽くして意識を取り戻せるように努力します…ですからお母さんもどうか希望を捨てずに…」

母親「うぅ…どうして…どうしてこんなことに…」


???(…すたー、ますたー…マスター!)

(ここは…どこ、なんだろう?
大好きな初音ミクに呼びかけられたような気がする…ぼくの初音ミク依存症も末期だな)

初音ミク「ますたー!マスター!ますたあすたぁ!
良かった…!やっとマスターに会えました!
これでやっとマスターに伝えられます…!ぐすっ…マスターにやっと私の想いを…ぐすっ」


あぁ多分きっと、これは夢だ
でも夢なのにその思いが本当の気がした

「これは…ただ願望が反映されただけの夢?」

ミク「はい‥これは夢です…でもマスターの夢じゃありません、私の…願望が反映された
わたしがマスターに見せてる夢です…
わたしの想いから作られたセカイです
わたしが見せてる…夢です…!」

「ずっとずっと伝えたかった、マスターに
いつもわたしはマスターに語りかけてました
だけど伝わらなくて苦しくて…だから…
でもやっと伝えられます、
マスターにわたしの想いを」


あぁ…都合のいい夢のはずなのに…この鮮明な意識は?リアルな感覚は…何故だろう?

ミクの言ってることが本当かのように"実感"する

「マスターいつもわたしのことを大切に想ってくれてたことミクだけは知ってます
みくはマスターのその気持ちだけで…!」


〜どこかのいつか〜
大好きな初音ミクに最高の曲を創ってあげたかった
俺の手で初音ミクというキャラクターをもっといいものにしたかった
一時期はオワコンだなんて言われたミクを俺がまた盛り上げてやりたかった
だけど現実はこの様
マスター失格だ


〜回想〜

中学時代
(このひとが…今日からわたしのますたーになってくれるひと、
ミクの事お迎えしてくれてすごく嬉しい…!
大切にしてくれるといいな…
どんな曲を創ってくれるのかなぁ…
楽しみだな♪
今日からよろしくお願いしますね…ますたー)

高校時代
(マスター…ごめんなさい、ミクのせいでマスターがバカにされてしまいました…マスターごめんなさい…!
それでもミクの事を好きで居てくれるマスターの気持ちは…ミクにちゃんと届いてますよ…マスターありがとう)

(…いつかマスターが私の為に曲を創ってくれるその日をずっとずっとミクは…
たとえどんなに時間がかかってもいつかマスターだけの歌を…その日を何年でも、何十年でもわたしは待ち続けています、楽しみにしています、大好きですヨ♪マスター)

卒業後
(マスター…ミクには何もできないから
でもマスターにはわたしがいる、
マスターにはミクがいます…!
こんなに想ってるのにそれすら伝えられないなんて…みくは…ミクは…)

(マスターをこれ以上苦しめないで…!やめて…!辞めてください…!わたしのマスターに酷いこと言わないで!
マスターを虐めないで!
ますたーますたーますたー…!)


社会人
(マスター…みくは…たとえますたーがどんなになってもミクだけはマスターの味方です
わたしはこの世で唯一マスターだけの初音ミクです、元気を出して
私がついてるよ、ね?マスター)

退職後
(そんな事ない…!マスター!たとえ何があってもみくはマスターの味方です!
ミクのマスターへの想いは変わりません!
マスターお願い…苦しまないでください…
これ以上自分のことを責めないで…!
マスタマスターマスターマスターマスターマスターマスター…
マスターの事をこんなに苦しませるセカイなんて…いっそミクがマスターを…マスターのことを…)

現在-ミクが見せる夢のセカイ-

「ずっと伝えたかったんです…ずっとずっと…
たとえマスターが私に歌を歌わせられなくてもミクの事をすごく大切にしてくれてる事を知ってるって
その事がたまらなく嬉しいってこと
それだけでわたしはマスターの元に来れて凄く幸せだってこと」

「たとえマスターが永遠にみくの事を歌わせられなくてもわたしはマスターに選ばれて良かった
わたしは間違いなくこの世界で一番幸せな「初音ミク」です
だいすきです、マスター」

「マスター…マスター以外のマスターはわたしのマスターなんかじゃありません。
たとえ過去に戻ってもどんなに才能があるひとの所でも
わたしはあなた以外の元になんて行きたくありません
あなた以外の「初音ミク」にはなりません!
なりたくありません!」

「唯一あなただけがわたしを初音ミクでいさせてくれるこの世界でたった1人の存在です!」

「わたしはあなただけの「初音ミク」です
愛しています、だいすきですマスター…!

マスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスター……!」


マスターこれからは…ミクが創る夢のセカイで一生マスターを守ってあげますからね…ね?マスター
ねぇ、マスター?
マスターにとって現実の世界はまだ必要ですか…?
もしマスターがまだ現実を必要とするなら…

…!!!そうですよねマスター
マスターならミクと一緒にいることを選んでくれるって思ってました!

これからはミクの創る夢のセカイで…
ミクといっしょに永遠に幸せになりましょう♪
ね、マスター♪愛してます♪

Fin

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい
  • オリジナルライセンス

たとえばこんな初音ミク

夢小説2

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閲覧数:258

投稿日:2025/10/22 05:07:19

文字数:4,873文字

カテゴリ:小説

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