君を右側に歩く帰り道
凸凹の影が二つ並んでいる
教科書いっぱいのバッグ　重たそうだな
小さい君には釣り合わないね

僕が押す自転車
こいつにバッグを持たせてやることにしたんだ
「ありがとう」と笑顔の君が愛しくって僕がありがとうって言いたくなった


悩みの一つくらい聞いてあげたいけど君の笑顔が消してしまうんだ

曲がり角の向こう
駅が君を待つ
君には悪いけどもっと遠ければ


駅の古い時計
随分前から針達は動かずに止まったままで
けど僕たちは鼓動を感じている
ベンチに腰掛けて手を重ね合わせる


汚れた空でさえ君とみることで愛しいんだよ
カンカン響くベル

笑顔をかき消した
「また来週会える　今夜電話で会おう」
少しだけ笑顔で


窓の向こうの君
少しだけ笑顔で
「アイウイアオ。」はふたりだけのメッセージ

僕を笑顔に変える魔法の合言葉
そして君も笑顔に
僕も「アイウイアオ。」


自転車に乗って僕も家に帰る
電車とは反対に
自転車のかごには溢れかえるくらいに君の温もりを積めて

また会える、合えるその日まで