営業という仕事を始めた頃、私は「最短距離」で成果を出すことばかり考えていました。
効率よく動き、失敗を減らし、できるだけ早く結果を出す。
それが仕事のできる人だと信じていたのです。
けれど現実は思い描いた通りには進みませんでした。
提案が通らない日もあれば、準備を重ねた商談が数分で終わってしまうこともありました。
自分なりに考えて行動しているつもりでも、うまくいかないことのほうが多く
「この遠回りに意味はあるのだろうか」と何度も考えたことを覚えています。
それでも不思議と仕事を辞めたいとは思いませんでした。
目の前のお客様と向き合い、一つひとつ課題を整理し少しずつ信頼を積み重ねる。
その繰り返しだけは、どんな状況でも続けてきました。
ある日、長くお付き合いしているクライアントから「最初に相談した頃より、提案の深さがまったく違いますね」と
声をかけていただきました。
その言葉を聞いた瞬間、これまで経験してきた失敗や迷いが一つの線でつながったような感覚になりました。
うまくいかなかった案件も、自信を失った時期も遠回りだと思っていた時間も、すべてが今の自分を
つくってくれていたのです。あの頃の経験があったからこそ、お客様の立場で考えられるようになり
表面的な課題だけでなく、本質的な問題にも目を向けられるようになったのだと思います。
人生も仕事も、振り返って初めて意味が見えることがあります。
そのときは無駄だと思った出来事が、数年後には大切な経験として生きてくる。
私はそれを、この仕事を通じて何度も実感してきました。
だから今は遠回りを恐れなくなりました。
歩く速度は人それぞれでいい。
大切なのは止まらずに進み続けること。
その積み重ねがいつか自分だけの一本の道になり、誰かの力になれる日がきっと来ると信じています。
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