訓練場に着いた。建物の外見は、とても小さく見えたが、中に入ると、相当広い空間だった。
(どうなってんだろ、ここ。)
広多郎には、まだ理解できない部分がたくさんあった。
「よし、じゃあ早速始めるか。」
劉備は、指を鳴らした。すると、7枚の壁が下から出てきた。
「今から、この壁に全力で攻撃をしてもらう。この壁は、特殊な材質でできていて、ほぼ絶対に壊れないし、力を加えると、吸収して、ため込むんだ。そのため込んだ力の量によって、戦力が変わるぞ。」
上には、モニターがある。どうやら、あれが戦力を表示するものみたいだ。
「俺が手本を見せてやろう。」
と言って、劉備は、軽くデコピンをした。
すると、壁は、勢いよく弾け、粉々になった。モニターには、エラーの文字が刻まれている。
「……こんな感じだ。お前らもやってみろ。」
劉備は、まさか壊れると思ってはいなかったのか、少し慌てた表情をしている。
最初に壁に向かったのは、亞須加だった。
「なぁ、劉備さん。これは、能力使ってもいいのか?」
と、劉備に質問した。劉備は、
「いいけど、周囲には気をつけろよ。」
と答えた。すると、亞須加の右腕が電気を纏い始めた。
「雷電…北欧神(トール)!」
技名を放ち、壁に攻撃をした。壁は、スポンジをついたかのようにへこみ、次の瞬間には、亞須加の拳を弾いた。モニターには、35514と表示されている。
「流石だな、亞須加。因みに、一般人が、大体50くらいだ。」
と、何か誇らしげに劉備が言った。
「よし、次は俺だな!」
と、真衣が壁の前に立つ。
そして、他のメンバーも、続々と壁の前に立ち、壁に攻撃した。
真衣は、34012、峯胤は15000、新介は540だった。メンバーの中でも、一際目立ったのは、水面だ。彼女は、何の能力も使用していない様子で、壁に正拳突きをした。モニターには、なんと、102573と表示された。
「……クソッ!」
亞須加は、異常に悔しがっている。どうやら、自分より上が許せないようだ。
「ラスト、広多郎。」
劉備は、広多郎の背中を押し、壁の前に立たせた。
「とりあえず、一発に全力込めて、思いっきり殴ってみろよ。」
と、真衣が言葉をかける。
(……まぁ、やってみるか)
と、広多郎は大きく振りかぶり、自分の思う全力で壁を殴った。すると、壁は微動だにせず、モニターにも、エラーとされている。
「ハッ!お前、まさか力が弱すぎるから、測定もできますねぇんじゃねえのか?!」
と、亞須加は辛口な言葉を言い放つ。
すると、劉備は、
「……なるほどな。」
と、一人何かを理解した様子でいた。
「これってどういうことですか?」
と、心配そうに広多郎は聞く。
劉備は、
「多分だがな、お前の能力の発動条件、発動のトリガーになるのは、打撃だ。今、壁を殴って与えた力が、お前の能力によって消えて、今、何かが生まれたんだ。」
と言った。広多郎は、不思議そうにおもっていた。
すると、急に、広多郎のポケットに重みのある何かが入った。
広多郎は、恐る恐る見てみると、そこには、鉄球が入っていた。
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