また、しばらくの間、休憩時間だ。
「リン、レン、凄かったわ!」
長女らしく、妹と弟を正直に褒める。
「本当!いつの間にあんなうまくなったの?」
両手を合わせて頬に寄せると、ミクが笑う。
「…まあまあでしたわ」
褒めているのかいないのか、よくわからないがルカの反応はよろんでいいのだろう。
「かっこよかったなぁっ」
少しずり落ちてきたゴーグルを上に押し上げ、行った。
「凄いな、僕らじゃあんなふうに格好良く歌えないよ」
優しげな笑顔が最後だ。
二人は照れくさそうに笑っていたが、二人を取り巻く五人は皆笑顔で、心から二人を凄いと思っているのだった。着たばかりの新入り二人に、いきなりこんな凄い歌を聞かせられたら、先駆者としては負けられない。と言う思いがあるらしい。
「ああ、私たちも負けていられないわね」
「本当だね。今度は僕らが頑張らないと」
年長組二人が意気込んでいると、彼らの後ろをなにやら叫びながら走っていくものがあった。
「ミキ、ミキ――?」
その表情は曇って、相棒がいなくなってしまったキヨテルの心がしっかりと表れていた。
なんども左右を確認して、細い通路も行き来して相棒を探す。少し気になり、リンが声をかけた。
「あの、どうかしました?」
「え、あ、君は…」
「鏡音リンです」
「ああ、そうか。よろしく」
「はい!それで、何かあったんですか?ミキって、パートナーさんの名前ですよね?」
リンにしてはよく覚えていたな、といった風で、心なしかリンは自慢げな表情で胸を張っていた。しかし、そのリンの期待を裏切るようにキヨテルは愛想笑いとも苦笑いともつかないつくり笑うを浮かべ、優しく答えた。
「いいえ、なんでもないんです。スミマセン、五月蝿くて。それでは」
「あ、ちょっと…」
声をかけたリンを無視してか、気付かなかったのか、キヨテルはそのままあるいていってしまった。そのキヨテルの声に、ルカが焦りを感じ取ったのは、ルカ以外の誰も知らない。
「…」
「ルカ?」
「あ、はい?」
「どうしたの、怖い顔して?それじゃあ、皆、観客席に戻ったほうがいいわ。カイト、行きましょう」
「うん。頑張ろうね」
「勿論よ。足、引っ張るんじゃないわよ」
「えー。ひどい!」
そう言って二人が去っていくのを見送ってから、五人でぞろぞろと観客席に入っていった。座っていた席に何かかんかの荷物を置いてあったので、誰にも座られていなかったのが、嬉しいところだった。
とりあえず座り、フィールドを見下ろす。辺りはまだざわついている。そんな空気に、ルカは一抹の不安を覚えた。
「ミキっ!ミキ――ッ」
そろそろ皆観客席に戻ったらしく、人並みはまばらになってきた。
しかし、それでも相棒は見つからない。どこかの人ごみに紛れてしまったのだろうと思っていたのだが、どうもそうではないらしい。何かを見つけて飛び込んでいったのか、それとも何かに巻き込まれてしまったのだろうか――?
「カタ…」
カラクリ人形のような音を立て、何かが近づいてくる。その音にキヨテルが顔を上げると――。
「ミキっ!」
細い通路のほうから、ふらふらと歩いてくるその姿、その服装、その特徴的なヘアスタイルはミキ以外の誰でもなく。しかしその目はうつろで、まともに焦点を合わせることすらままならないらしい。
「大丈夫ですか、ミキ、ミキ?」
「…ぁ」
「ミキ」
「…誰…ですか…?」
「え?」
「私…誰…?」
データ、あるいはメモリーに異常が生じたのだ。焦りと不安が、キヨテルのココロを支配する。
「と、兎に角、直してくれそうなところに行こう」
「どこに行くんですか」
「本音君のところです!」
そう言ってわけがわからないという様子のミキの手を引き、キヨテルはいつになく焦った様子で長い道を半ば走っているようになりながら、歩いていく。
それから辿りついた先のドアを叩くようにノックし、中にいた本音デルが出てきたと思うと、ミキを前に突き出して言う。
「直してほしいんだが!」
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