ギターが、空間を震わせた。
キーボードが優しく部屋の中を満たしていく。
「皆遅いねぇ」
リンが言うと、
「まあ、皆忙しいから」
カイトが言った。少し困ったように笑ったカイトは、なんだかとても淡い印象を受けた。ふわふわと溶けてしまいそうな、不思議な笑顔なのだ。
「二人だけでやるのもね」
「まあね。…休憩しよっか」
キーボードから離れ、カイトはスポーツドリンクに手を伸ばした。それを見て、リンもギターを下ろすと、オレンジジュースを手に取った。ひやりと冷たい。
ふと窓の外に眼をやると、霧のように細かい雨が降っていた。
「皆、傘、持ってるかな」
どうやらカイトも同じように窓の外を見ていたらしい、独り言のようにつぶやいて、玄関先にある、自分の傘に目をやった。それを見て、リンも独り言のように、
「迎えにいこっか」
雨が濃い霧のようで、なんだか妙な雰囲気だった。
そして、そんな中を、二人並んで傘を差し、ジャラジャラとその手に閉じた傘をかけているリンとカイトは、もっと妙だった。雨のせいで肌寒いのに薄着で出てきてしまったことを後悔しつつ、リンはカイトと言葉を交わすことなく、歩いていた。特にカイトに話すことも無かったし、カイトから話しかけられることも無かったからだ。
「リン」
カイトが言った。
「何?」
短く、返した。
「リンは、音楽が好きかい?」
「好きだよ。バカイトも好きでしょ?」
「バカイトはおいといて…、好きっちゃ好きだけどね、確かに」
「?」
微妙な言い回しに、リンは首をかしげた。また、淡い笑みを浮かべた。
「皆好きでしょ、うたったり、踊ったり、おと鳴らしたり。そういう風にしたいんだ」
「どういうこと?」
「趣味は仕事にするべきじゃないと思うよ。趣味は趣味。楽しいままにしておくほうがいい」
「…」
「今後のバンド活動はね。僕らの親のように、仕事にはしたくない」
「じゃあ…」
そこまで、リンが言うと、カイトはそっと目の前を指差した。その指差した先を見ると、リンは、既に大学の眼と鼻の先まで来ていたということに気がついて、足を止めた。
玄関に行くと、ミクとレンが二人に気がつき、手を振っていた。傘を渡すと、
「ありがと」
「めーちゃんとルカは?」
「まだ。迎えに来たの」
「まあね。どうしようかな」
「皆でまとう」
ミクが提案した。だれも、拒否などするはずも無かった。
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