十七尉の投稿作品一覧
-
心臓に剃刀 偽典に栞
世界が壊れてくれたらよかった
生贄のユスリカ 義眼のマチ針
茨で脈を裂いているように
生きたまま入る棺は冷たい
鏡が融ける温度になる迄
枯れ草の様に 戦慄いていた
火薬と天使 消えた劇薬
まだ何も終わらなかった
赤い靴 棘の無い雲...死が足りない
-
きっと魂は飽和していた
焼かれた足を引き摺る霊と
暗闇の中のトリガーハッピー
手を取り合って失いあった
100万人の笑顔の為に 一人の少女は泣き続けていた
美しい星を守る為 醜い顔は犠牲になった
さよならさよならさよならさよなら
嫌いだった嫌いだったけど 恋の一つもできればよかった
穢れなかった筈の...ChristmasMurder,HalloweenSuicide
-
這い回る感覚があった
皮膚を毛虫が覆い尽くした
触覚が伸びていた 毛むくじゃらの生き物だった
潰そう
潰せず目は見開いた
こっちを見ていた あっちは見ていなかった
毛虫はずっと生きていた
張り付いたままで這い回った
万能な気がして身体を切り刻んだ
心は誰より幸せだった...脊髄の寄生虫
-
絞首台のコウノトリ
置き去りにされた赤子を憐れむ
床板を失うコウノトリ
最後の罪を 思い出したら
高飛びを決めたキャベツ畑を
赤子を啄み 地上に捉えた
“幸せになってね” 全ての人に
そんな願いを 届けたいだけ
この首を縄で縛るなら
せめて翼が広がらないよう...それから。
-
1
少年は今日も空想に耽る
音も匂いも知らないけれど 赤色の臓器を映像で見た
町行く人が 白紙だったと
酒と薬で頭が壊れた 売女の息子と同じ世界で
憧れていた死刑囚は まだ心の中の電気椅子
マトリョーシカを切り刻もう
カブトムシの 予言の通りに
皮はニカワに 身は食卓に
余った部位は 床に並べて...うさぎの解体
-
1
天に召された恋人を想う
シーツには彼女の体温がまだ残る
薄く儚い貴女を想う
テーブルには飲みかけの紅茶がまだ残る
手紙に残した二つの約束
一つを叶えて 一つを失う
見えないものだけに光を与えて この網膜に焼き付くように
なおも忘れたくない大切な記憶が
感触が 香りが 痛みが...眠り薬に祈りを込めて。
-
サイレンに 上品に吠える
小奇麗な 飼い犬とは違う
彼女を傷つけた 理想の世界 愛せない
見えるもの全て敵なら
見えなくっても敵になるのさ
晴れて追われる身だ 気が済むまで逃げてやる
(0:40~)
夕陽まで 青春ライダー
ツバを吐け 嫌いなこの町
転んだら屍肉燃やして 残った骨は海にバラ撒け...青春ライダー
-
1
あの生い茂る樹の枝に
麻を縛って首を吊ろう
きっと楽しいハズだから
愉快な人形 くるみを割って
操り糸で 誰でも縊る
御神の使いは 見て見ないふり
銀貨二枚で 赦してくれる
あの日縫い忘れた傷跡に
ガラスの破片で文字を書こう...首縊り人形
-
1
弾倉なんか必要ないのさ どうせ自決にしか使わない銃
尺取り虫も猛獣も 最後まで数は揃いもしない
柏葉十字の英雄だって 待ち伏せの蛍に落とされちまった
SAはどいつもこいつも粛清されて
もう誰も残っちゃいねーや
カレーで落とした連合軍が 這い上がってくるぞ 数が増えてるぞ
妖精さんは助けちゃくれな...ベルリン、陥ちる。
-
1
街の光が消えてゆきます
私も在るべき處へ戻らなければなりませぬ
重ねるべき事重ねられぬは 僅かな夜と知つてい乍ら
此の善惡の重さも量れぬ淺ましさ故
殺める程度で殺め足り得ぬ 蔑みを待つ 不定の天秤
此の兩の瞳に蝶の見る夢 搖らめく炎の光を見るやうに 幻許りの搖らぎの渺漠
別つ程に別てぬ神經 此の...心中往路
-
1
花を摘み亡骸をつくる
水面に映る月の亡骸弔う為に
月の亡骸嘲嗤う 揺らめくように 目覚めた錯覚弄ぶ
水面に投げ込む亡骸の波 与えるように戴くように
この心の亡骸ひとつ 水面に静寂すらも落とせない
月の亡骸 光を摘みとる 心の亡骸呼ぶように
光の亡骸 飲み干してゆく 水面に棺を浮かべるように
心の...亡骸