タグ:哀音リュウ
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「……さてと」
女性は青年の着替えを取りに、リビングへと向かう。
そこに。
「……お母さん」
洗面所前で待っていたサクが呼び止めた。
「ん?どうしたの?サク」
振り返って見てみると、サクは少し俯いて、悪戯が見つかって叱られた子どものような表情を浮かべていた。
「怒らないんですか?私の事」
「どうして...【創作小説】招かれた家、その住人 2
悠(ゆう)
「お母さん、ただいま帰りました」
「おーサクおかえりー…って誰その人」
玄関まで出迎えてくれた「お母さん」と呼ばれた女性――少女とも言っても違和感のなさそうな外見だが――は、すぐに、「サク」と呼んだ少女の後ろに立つ青年に気付いた。
「雨の中で一人で濡れてたんです。帰る場所がないみたいなんで、連れてき...【創作亜種小説】招かれた家、その住人 (1) (「雨音の中で」続き)
悠(ゆう)
空には灰色の雲が垂れ籠め、雨粒が地面を打つ。
「~♪」
その中で、雨音に合わせるように歌いながら、傘を差して歩く少女が一人。
「~♪………?」
しかし、その心地よい歌声は途絶えてしまった。
その視線の先には、傘も差さずに力なく塀に凭れ、座り込む青年が一人。
まるで捨てられたかのような様子の青年。
少...【創作亜種小説】雨音の中で
悠(ゆう)