「……さてと」

女性は青年の着替えを取りに、リビングへと向かう。

そこに。

「……お母さん」

洗面所前で待っていたサクが呼び止めた。

「ん?どうしたの?サク」

振り返って見てみると、サクは少し俯いて、悪戯が見つかって叱られた子どものような表情を浮かべていた。

「怒らないんですか?私の事」

「どうして」

女性は「何がおかしいのか」と言わんばかりに疑問を疑問で返す。

「だって、私の勝手で連れてきたのに」

それを聞いて、女性はふっと笑った。

「いいよ。サクは優しい子だからね。彼に帰る場所が無いって知って、かわいそうに思ったんでしょ?」

「はい…」

「ここに住まわせてもいいよ。悪い人じゃなさそうだし」

女性の言葉にサクは少し驚きの表情を見せた後、ぱっと笑顔になった。

「ありがとうございます!」

「はいはい」

弾んだ声のサクに、女性は軽く笑って返した。

「まあ、人数が増えすぎるのも考えものだけどね。彼みたいなボーカロイドがそういるとは思えないけど、そこは注意しておくよ」

「はい」

「よし」

じゃあ彼の着替えを取りに行くか、と、女性はリビングのドアを開けた。

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【創作小説】招かれた家、その住人 2

1の続きをいろいろ考えたんですけど、やがて私の考えすぎだったという結論にたどり着き、なんというか、なんでもないような内容になったようなそうでないような。ちなみに女性は言わずもがなマスターです。

次回からボカロらしい事させようと思います。

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投稿日:2012/02/02 17:49:40

文字数:505文字

カテゴリ:小説

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