タグ「鏡音レン」のついた投稿作品一覧(8)
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澄んだ空と凪いだ心
いつも通り陽は昇った
穏やかに過ぎていく 今日と云う時は
今も想い出の中へと 置き去って
「さよなら」と微笑んでた
誰よりも優しかったひと
ぼやけていく命の光 風に攫われて
きらきらと消えてく
指の先で触れた願い
掬い上げて 溶けてしまう...風花
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指の隙間から零れゆく 君との約束を
ひとつずつ飲み込んで そっと告げる夢の終わり
「笑ってて」と最期の言葉が 今の僕には身体震えるほど
ただ切なくて宙(そら)を見上げていた いつの日にか二人きり過ごしてたように
星降る夜に君を捜して 幾千の光を掴もうと
伸ばした指先届かないままで いくつもの想いを抱...星降る夜に
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沈んだ幾つもの夢蹴飛ばして
どうせ叶わぬものと置き去りにした
例えばあの日のように振り向かず
何も気付かないままで居られたなら
きっとこの瞬間でさえ空を追い掛け続けてた
ふわり羽ばたいた小さな輝き
Butterfly 音もなく届かぬ空間を
一人泳いでは未だ見ぬ世界を描く
Butterfly 美しい両...Butterfly
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覚悟は決めていた。
早く死にたいとも思っていた。
しかしそれは死とは無関係の場所にいる自分だからこそそう願ったのかもしれない。怖くはない。むしろ良かったのだと思っているが、ひとつだけ未練がある。
リンに出会うまでは無かった未練だがこういったカタチで死に逝くことが決まって、もっとリンと一緒に居たいと願...死にたがりの君と生きたがる僕。【6】
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変わりなんて一人もいない、沢山の仲間達。
かけがえのない大切な時間。
振り返れば傍にレンがいて、笑ってる。
いつも通りの優しく温かい笑顔を浮かべていた。
駆け寄ろうとしたけれど見えない壁に阻まれてそれ以上近付くことも出来ず、何度彼の名を呼んでもその距離は縮まることなく開いていく。
片手を挙げて、白い...死にたがりの君と生きたがる僕。【5】
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それは突然の朗報だった。
そろそろレンが起きてくる頃だろうかとカレンダーを見上げていたら、主治医がいつも通りの長い藤色の髪を一つに束ね、白衣を身に纏った姿で部屋に入ってきた。
縁なしの眼鏡をかけた顔は端正に整い、薄い唇から発せられる低い声には看護師患者問わず感嘆の息を漏らす―――らしい。リンにとって...死にたがりの君と生きたがる僕。【4】
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―――これは、夢だ。
レンは、目の前の光景を見るなりそう認識した。気付いたわけではなく、言うなれば、そうであることを“知っていた”。
そこはきらきらと輝いていた。
何処か遠く、このレンが知る世界ではない遠い世界で、それでもガラスの壁の向こう側にいる彼等は彼が良く知る彼等であり、同時に全く知らない彼等...死にたがりの君と生きたがる僕。【2】
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「死にたい」
私の命に期限がついた頃、彼は言った。
目の前の少年は特別仲がいいとか悪いとかもなく、この病院で出会ったただのトモダチ。
真っ白い病室のベッドの横、折りたたみの椅子に座っている。時折この橙色の髪の少年はこうして遊びに来てテレビで見たことや外出をしたときに見たもののことなど、なんてことない...死にたがりの君と生きたがる僕。【1】