あいぼっと

いま知る筈の無かった 嘘を覚えてしまった
もうすぐ長い夜が終わる 雨は暫く続きそうだ
少し重い 瞼 閉じた そのまま海へ融けた
深く深く沈んでゆく 私は息を止めながら
深く深く考えた あなたがまだ好きなのに
いま知る筈の無かった 嘘を覚えてしまった
本当のあなたに触れる事は無く 暁は雨に霞む
独りの...

さぁさぁ 部屋も暗くなった
皆様お待ちの開演時間さ
擦り切れたし 見飽きた 何時も同じなフィルム
やぁやぁ 声を殺しておくれ
騒めくシアター 悪戯の影
あれだけ警告していたのに
マナー違反のベルが鳴る
揺れるシャンデリア 非常口のあの人は逃げ出した
血で染まるリング 恐怖と仰ぐ
サングリア 非常事態...

貴方の為に鳴らす包丁
手作りのエプロン 甘い香水
雨音より少し上 甲高い音が鳴る
貴方の為に作るご飯
こだわりのドレス 磨いたお皿
冷めないうちに 温かいうちに
さぁ、どうぞ召し上がれ
私の気持ち隠し味 気付いて欲しい
白肌に流れる 哀しみは
唇の裏にしまってね...

破れた靴と破れた傘で 雨降る街を一人抜け出してく
すれ違う子供 手を掴まれて
宛てもなさげに街へ 吸い込まれてゆく
近日 稀に見る 大雨で
溺れそうな街 錆び付いた人々の足
いっそのこと 沈んでしまえば
そしたら幸せなんて 探さなくてもいいんだ
星空を眺めては また憂いている
溢れる涙も 覆い隠せる...

夢にまで見た発展 昨夜のドラマでも見た展開
こんな幸せは今度 訪れやしないかも
勇気出して言ってみた 昨夜のドラマの後電話
「明日一緒に遊びに行きたいな。」
お互い 惹かれてた なんとなく分かってた
遊園地にでも行きたい なんて話してた
あれから どれだけ時間が過ぎてたんだ
私はいま何をやっているん...

明日という駅に向かう途中
鈍色の空　掻き分けて
ゆっくりと進む列車　私を乗せて
引っ掻きノイズのアナウンス　抑える胸元を擽った
行き先は？
また逢えるさと手離した　風船みたいに去って行く
その後ろ姿　まだ目の前みたいだ
揺られる時間は　今までの過去が
全部背中に乗って　過ぎて行く
君に逢いたくて　で...

ふと眼を覚ました
宛て無い旅の途中に
カンテラで照らされる テントの中
心を簡単に見透かされる
絵本のような お手軽な世界
夜明けの鐘がなる前に出発だ
頁が変わってしまう前に
今日は粉々に消える
明日の街はこれから創るのさ
何度も何度も絵を描こう...