にしき

人間讃歌もラブソングも　気分じゃない？
ならどうだい　六十点の鼻歌は
君が捨てんなら僕が貰うよ
気障な言葉も綺麗事も
音にもならないで零した分だけ
ひとりじゃないなんて真っ赤な嘘で
生まれ落ちた時からひとりだよ
でも声は届くし手も繋げるよ
この呼吸が続く限り
眠れない夜は歌って...

割りに合わない幸福論も
目まぐるしく回るセカイも
どれも今一つ飲み込めないや
理屈じゃないんだその声は
気まぐれに舵を取る
血の通った言葉で　丸くなった石ころで
隅っこの方にやられた泣きじゃくる心に
差し伸べる歌で　温もりを重ねて
思い通りにならない夜を越えよう
振り向かないで　振り向かないで...

口だけは達者なペダンチスト
愚痴ばっかり垂れてるパペット
不安があるならロング缶で洗い流せ
明日には忘れてるゴシップ
響きだけ覚えてるリリック
挙げ句の果ての大衆扇動劇
振り返ればいつだって厚顔無恥
高周波の耳鳴りが止まない
前倣えがぎこちなくて錆び付いた
オートマタさながらの動作は鈍く...

押し寄せるニヒルに踏み潰されて
今日も1日が終わる
膨れ上がった感情は
喜怒哀楽どれでしょう
綺麗事でも大歓迎　ご都合主義だって上等
なあ、そんな理想郷は　どこにもありゃしないぞ
わかってんだよ　わかってんだよ
このままじゃいけないことは
わかってんだよ　わかってんだよ
何者にもなれないと...

色の落ちたジーンズ　履き潰したスニーカー
思い返すはネイビーブルー
何がなんだかわかんない　じゃあ反省会でもしようか
どこまで遡ればいいんだ
選んだ言葉の全てが　間違っていたような
気がしてならない　
餞別がわりの　足音はとおく
雑踏の中に紛れて消えた
見知らぬ誰かの手を振り解いて
最終列車の　ドア...