触媒ファントムガール

プール帰りの境内で　しゃがみ込んで駄弁っていた
アイスキャンディ溶け落ちて　蟻が群がる
夕方五時のチャイムが鳴り　夏の雲に稲光
駆け出す君が手招きして「ここまでおいで」
あの子の声が　蝉時雨と混ざり合う
夏に急かされて　追いかけたその背中
君は膝を擦り剥いて　泣きながら笑っていた
チチンプイプイ　痛...

誰かが呼んでいるような気がして
路地を振り返る
何処からともなく春の香りがして
胸が騒ぎ出してしまう
真夜中過ぎの国道線を　全速力で走り抜けた
街灯が映す　ロードムービーな残像　視界の隅に消えて行くよ
息を切らして走り続けた　何処に行くか分からないけど
独りぼっちの風景　春風が到来　桜の花がヒラヒラ...

君が居た夏景色、僕はまた思い出すんです。
輪郭も曖昧な色の無い写真のように。
逃げ水の向こう側、後悔が今も揺らいで。
君はまだ覚えてる？　あの夏の出来事を。
蝉時雨、向かい風。風鈴が何処かで揺れている。
蜃気楼アスファルト。君が滲んでいた。
公園の水道で、作った虹は鮮やかでさ。
水溜まり飛び跳ねて君...

忘れ物思い出して、取りに戻る午後三時。
西日差す教室で、私は見たんだ。
君がチョーク齧っている、美味しそうに齧っている！
炭酸カルシウム宙を舞って、キラキラ奇麗だった。
君がチョーク齧っている、美味しそうに齧っている！
「ねぇ、美味しいの？」って聞いてみたら、
「美味しくない」と笑っていた。
君の事...

闇雲にロングスリープ　生温いデイドリーム
這い出せずに微睡んで　脳ミソの底辺で鈍くなる
剥がれた尊さ　投げ出した誓い
呼吸困難、春風の甘味に気が触れる
いつまでも躁なんだよ　轢き千切る感情線
だけど吐きそうなんだよ　流れ出す劣等感
軋み始めたリグレット　跳び越えていく境界線
だから春はスーサイド　1...

放課後の追いかけっこ　「逃げてばっかじゃ、つまらんじゃん」
あの子は僕を狙っている　「ゲームを今から始めるよ？」
追いつめられたグラウンド　「そろそろ観念しちゃおうか」
あの子に僕は殺される　「ゲームはここで、おしまい」
殺人的なビームタッチ　あの子は僕を指差して
バリアと共に撃ち抜いた　素敵な笑顔...

喧噪ノイズの強迫観　背骨の随が痺れ出して
一体全体なんだってんだ　テッテッテーのテッテテレレッテ
崩壊アンプの超伝導　細胞膜が疼き出した　
吐きたい言葉全部、混ぜ込んで　ラッタッターのラーリラリラ
　
躁鬱！躁鬱！絶体絶命　「1、2の3…！」で起死回生
羯諦羯諦　波羅僧羯諦　躁鬱少年28号
ジーザ...

遥か彼方、遥か彼方　西高東低の風の気配
徒然だね、徒然だね　白昼の午後を漂ってさ
息が詰まる、息が詰まる　意識がクラクラ遠くなって
行方知れず、行方知れず　夕方五時のチャイムが鳴る
立ち止まった現在地　いつまでも塞ぎ込んで
すれ違った影法師　もう、思い出せないや
見失った新天地　いつからか眩んじゃっ...

遠くの空、闇が迫る　滲み出したフェードアウト
叫ぶ声も飲まれそうな　黒い雲を掻き消して
未だ見ぬ夜のその先へ　涙を拭って駆けていく
一晩中泣きはらした　君の目には何が見える？
響くサイレンが共鳴して　世界が少し震えだした
革命前夜の物語　誰も知らない夜が明ける
繋ぐ未来、闇が迫る　行く手阻むデッドエ...

いつの間にか　殻の中で　
逃げるようにヘッドフォンをしていたんだ
それでもまだ　震えている
僕の中のオンガクが、今
無限大へと走り出した　蛍光色のオーバーチュア
耳鳴りを掻き消して　本能のさらにその奥へ
型破りな一斉射撃　全身全霊のトリガー
リミテッドを撃ち抜いて　叫んだ声がコードになる
いつの日に...