日もまだ登りきらない明け方。
 薄暗いハンターキャンプにランは一足早く着いていた。
 昨夜、市場で一通りの食糧や薬等を買い、弾薬も補充し、準備は万全である。
 朝が早いからか、人は決して少なくないが、昨日ほどのにぎわいはない。
 時間的にもこれからハントに行く人が多いせいで、辺りはピリピリとした空気が漂っていた。
 そして、誰もが当然のことだが、戦闘用の服を着ている。
 鎧を着ていなくても、動きやすい服や耐水性の服など日常では着ないような服を着ている。
 しかし、建物内に座っていたその女性だけは違っていた。
 ピンクの長髪をしたその女性は、黒に黄色の装飾が施されたような服を着ていた。
 だが、その服はズボンではなく、足の付け根まで切れたスカートのようなもので、明らかに戦闘には向いていない。
 右手に鉄で作られたような小手らしきものを装備しているが、他に防具らしい防具もない。
 それに武器らしい武器も装備していない。ただ、長さ60cmほどのケースを持っているだけである。
 入っても短剣程度で、普通の剣はとても入らない。
 ランはその女性から目が離せなかった。
 その女性は他のものとは違う雰囲気だった。
「何?」
 突然、その女性から声を掛けられ、ランはビクッと驚いた。
「いや」
「そんなに私のことが気になる?」
 その言葉にランが周りを見てみると確かにみんながこの女性に視線を集めている。
「いや、オレも女性だから!」
 その一言に周りの人々がざわめきだす。
「失礼な!」
 怒り交じりにランは言った。
 だが、その女性は。
「そんなことは聞いてない」
 声色一つ変えずに答える。
「いや、その、オマエもハンター?」
「ええ」
 さすがにハンターキャンプにいるので、驚きはしないがその服装をもう一度見まわし、ラン早借り疑問に思う。
「ランクは?」
「ない」
「ない??」
 明らかにその女性からは徒者ではないオーラが出ている。
 だが、その彼女がランクを持っていないと言ったのだ。
 さすがに今度は驚いた。
「持ってない??」
「ええ。では、私はこれで失礼する」
 そう言ってその女性はそそくさと出て行った。
 ランはその女性の消えていった門をボーっと見ていた。
「どうかしたのですか?」
「え!?」
 突然の声にランははっと後ろを振り返る。
「ディアナか」
 ランはなぜか安堵の息をついた。
「さっきの女性、知ってる?」
 ディアナは首をかしげる。
「先ほど出て行った黒服の女性ですか?」
「ああ」
 ランの言葉にディアナは、今度は首を横に振る。
「私はこのあたりの人ではないので」
「そうか。オレも地元じゃないからな」
 すると、マスターが少し飽きれたような顔で話しかけてきた。
「あんたたち、本当にあの女性を知らないのか?」
 その言葉に二人は揃って首を横に振る。
「この辺では有名だぞ」
「え? でも、ランクがないんじゃ?」
(ランクがないものが有名? そういう意味でか?)
 すると、マスターはランの心中を読んだかのように答えた。
「当然そういう意味で有名じゃないぞ。彼女はただランク試験を受けてないだけだ。だが、実際には凄腕のハンターキラーだ」
 その一言を聞いて、ランは凍りつく。
 ハンターキラー。
 対モンスターではなく、対ハンターを仕事とする者。
 競争率のはげしい宝や獲物を狙うときによく雇われ、時には競争相手を死に追いやることもある。
「まあ、せいぜい仕事で敵対しないようにな」
 そう言うと、マスターはカウンターに戻っていった。
 ランは先ほどの女性を思い出してみる。
 確かに明らかに一般人とは違うオーラを放っていた。
「深く考えても仕方ないですよ」
「え?」
 思い悩んでいたランにディアナは声をかけた。
 ランは少し驚いた顔をする。
「万が一争うことになった時は幻術を掛けて逃げれば大丈夫です。タカラはとれなくなりますけどね」
「それもそうだな」
 そう言うと、ランは立ち上がりバッグを背負った。
 そして次々に武器などを装備していく。
「じゃあ、行くか?」
 すべてを装備するとランは言った。
「はい、行きましょう」
 そう言うとディアナも杖をとるのだった。
 
 
 秘宝のある場所はやはり遠い。
 現れるモンスターを時には倒し、特には逃げて平野を越え、山を越え、洞窟の中で二人はようやく眠りについた。
 だが、たった三時間しか二人は眠らなかった。
 それも、交代で見張りをするので実際には一人1時間半しか寝ていない。
 だが、ハンターにとっては別に珍しいことでもない。
 寝ているときはどんなに強いハンターでも赤子のように何もできない。
 相手がモンスターにしろ、他のハンターにしろ、そこを襲われればもちろんひとたまりもない。
 なので、本当に厳しいところでは何日も寝ないこともある。
 二人は起きてからすぐに出発した。
 さらにもう一つの山を越えると、ようやく目的の場所が近づいてきた。
 だが、それに比例してか、モンスターも強くなっていく。
 洞窟以前とは桁の違うモンスターを倒し、惑わし、逃げ、二人は何とか秘宝のあるといわれている洞窟までたどりついた。
「モンスターは…………どこだ?」
 辺りを見回しながら、ランは疑問を口にした。
「……いないようですね」
 ディアナも首をかしげて答える。
 どこを見ても確かにモンスターはいない。
 だが、ツボラ宝石は確かに洞窟の奥で光っていた。
「守っているモンスターが戻ってこないうちに急いで宝石をとりましょう」
「ああ、そうだな」
 ディアナの提案にランを賛成し、二人は宝石に向かった。

 だが。

 二人は一つ大きな勘違いをしていた。
 モンスターは底にいなかったのではない。
 いないふりをしていたのだった。
 二人が宝石に手を伸ばそうとした瞬間。
 背後でそのモンスターがゆっくりと自分の色を取り戻し、姿を現した。
「な!?」
「え……」
 二人は驚きを隠せない。
 そこにいたのは、マントしかないようなモンスター。
「なんだこいつ!?」
 ランが叫んだそのときだった。
 突如、風の刃がランに襲いかかった。
 ランはとっさに横によける。
 風の刃はそのまま直進し、洞窟の壁に生々しい太刀筋を残した。
「一端外に逃げるぞ。ディアナ、幻術を頼む!」
「は、はい!」
 ランの言葉にディアナが急いで幻術を唱え始める。
 瞬間、そのモンスターの動きが止まった。
「今だ!」
 二人は急いで外に向かって走る。

 しかし。

 洞窟から出た瞬間、背後から放ったモンスターの風の刃が、ランの左肩を襲った。
「がっ!」
 血が噴きあがるとともに、ランが崩れ落ちる。
「ラン!」
「大丈夫だ」
 膝立ちで左肩を抑えながらランは答える。
「とりあえず、やつを何とかしないとどうにもならない。幻術もほとんど聞かないようだし」
「なら!」
 そう言ってディアナは両手を上げ、呪文を唱える。
 頭上に大量の炎が発生し、それが波の如くモンスターに襲いかかった。
 だが。
 それはきれいにモンスターをよけるように通り過ぎて行った。
「え……?」
 何が起きたのか分からず、ディアナは茫然とした。
「風だ! おそらく風の壁を作って炎を流したんだ!」
 ランの言葉に、だが、ディアナはさらに戸惑う。
「で、でも、私炎し……」
 その言葉が言い終わらないうちに、風の刃が今度はディアナに襲いかかった。
 ディアナは何とかそれを避ける。
 続いてラン。
 ランも肩に傷を負いながらもそれを避ける。
「もう一度さっきの炎を頼む」
 ランの言葉にディアナは驚いた顔をした。
「効きませんよ?」
「いや、視野を妨げられれば十分だ。オレがその炎の後ろに隠れて迫り、直接剣で斬る」
 そう言うとランは血で赤く染まった右手で幅広剣を引き抜いた。
 ディアナは頷き、再び両手を上げた。
 先ほどと同じ呪文を唱えると、また大量の炎が頭上に発生し、先ほどと同じようにそのモンスターに襲いかかった。
 それと同時にランも走り出す。
 だが、彼女らはまた一つ大きなミスをしていた。
 一体誰がそのモンスターが人間の言葉を理解できないといっただろうか?
 そう、そのモンスターは人間の言葉を理解できるのだ。
 そういうモンスターは決して多くはないが、いないわけではない。
 炎の向こう側から襲ってきた風の刃がランを切り裂いた。
「ぐっ……!」
 ランは倒れ、もちろん炎はモンスターには当たらなかった。
 状況は一転した。
 先ほども決して優勢ではなかったが、さらに劣勢になっていた。
 ディアナにはそのモンスターに攻撃する手段も持っていなく、優位つの攻撃手であるランは大怪我をしている。
 もう二人に打つ手はなかった。
 モンスターがランにとどめを刺すために、ランに迫った。
 ランは立つことはできたとはいえ、とても避けられるような状態ではなかった。
 モンスターが再び風の刃の形成を始めた。
 
 その時だった。

 二人は何が起きたのか分からなかった。
 だが、何かが確かにそのモンスターを貫いていた。
 モンスターが地面に倒れ、そして動かなくなった。
「…………何が起きたのですか?」
「分からない」
 二人は戸惑い、何をどうすればいいか分からなかった。
 すると、目の前に私服に近いような姿をした背の小さな男がワープしてきた。
「キャリー?」
 ランはワープを見てそう判断した。
 キャリー。
 手に入れた秘宝や倒したモンスターを運ぶことを仕事とする者。
「ひっひっひ。ツボラ宝石ももらうぜぇ」
「な!?」
 いきなり現れた男にそんなことを言われれば、驚くのも無理はない。
「それはオレらの狙っていたものだ。いきなり現れたあんたなんかに横取りされてたまるか!」
 ランは洞窟に向かっていくその男に怒鳴ったが、男は振り向きもしない。
「キャリーなんかに負けるつもりはない!」
 ランは剣を引き抜く。
 だが、男は動揺する様子もなくまた
「ひっひっひ」
と不気味に笑った。
「やめとけぇ、ひっひっひ」
「やめたら秘宝をとられるだろ」
 いくらランが言っても男は不気味な笑いをやめない。
「ひっひっひ、やっても変わらねえぜぇ」
 その言葉を聞いて、ランは男に向かって襲いかかろうとした。
 だが、瞬間。
 何かが短剣に当たり、短剣が手からはじけ飛んだ。
「な、なんだ!?」
 何が起こったのか分からずにランは立ちつくす。
「ひっひっひ、こっちには凄腕のスナイパーがいるんだぁ、あんたたちなんかすぐに殺せるんだ……」
 男が言い終わらないうちに、今度はそれが男の頬をかすめた。
「おっとぉ、そういやぁ、このハンターキラーは殺すことは嫌いだったなぁ」
 一瞬笑みをひっこめた男は再び不気味な笑みを浮かべた。
 ハンターキラー。
 その言葉でハッとランは思い出した。
「まさか、そのハンターキラーって、黒服にピンクの長髪をした女性?」
 ランに言葉に男は笑みに意外さを混ぜる。
「よく当てたねぇ。そうさ、まさにその女性だよぉ」
 男は意外さをひっこめ、また笑みだけに変わる。
「あいつ、そんなに強いのか?」
「あぁ、いえぇさぁ。ランクを持ってないのも政府の政策に反対してランクを捨てただけだからさぁ」
「ランクを捨てた!?」
「え!?」
 ランもディアナも心の底から驚いた。
 ランクを捨てて得になることなど一つもない。
 そのため、普通はハンターの仕事を辞めたとしてもランクは捨てない。
 それを、ハンター業をやっているものが捨てたのだ。
 驚くのは当然のことである。
「あぁ、捨てたんだぁ。変な奴だよなぁ」
 そう言うが、男の表情は何一つ変わらない。
「変も何も、普通しないだろ?」
「しないねぇ。まあ、あそこまで行けば捨てても変わらねぇかもしれねぇがな」
「そこまで?」
 男の言葉にまた疑問を抱いたランは問いかけた。
「あぁ。あいつは、ルカはもとSランクだぁ」
「「!?」」
 二人はもはや言葉にならないほど驚いていた。
「Sランク!?」
「そうさぁ。やつはもとSランクハンターキラーさぁ。やつのさっきの技を見ればわかるだろぉ?」
 ランは先ほどのことを思い出してみて納得する。
 手に持っていて、しかも走って動いていた短剣を見事に当てたのだ。
 そうそう並みの人が、上級者でさえ、出来るものじゃない。
 それもここからは見えないほど遠い位置からのスナイパーライフルでの射撃。
 納得せざるを得ない実力である。
「まぁ、街までは送ってやるぜぇ」
「……はい」
 もはやランは悔しさをも通り越していたのだった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

ハンターズ  ラン&ディアナ2  -コラボ【コカろん and ヘルフィヨトル】-

お待たせしました!(待っている人がいるかどうか分かりませんがw

こんにちは
ヘルフィヨトルです。

やっと書き終えましたOTL
もう2カ月が過ぎましたね……
とりあえず……ごめんなさい><

今回はルカさんが出てきました^^
もともと出そうと思っていたのですが、どの職業にしようか悩んでいましたw
なので、まあとりあえず満足です^^

これからも主要なボーカロイドを出したいと思っています。
そこでせっかくですし、みなさんの投票で決めようかなっと思っています。
メイコ、カイト、ミク、リンレン から選んでくださいね^^

オリジナルボーカロイドもお待ちしています^^
「私のボーカロイドを登場させたい」と思った方は気軽に私にメッセージをどうぞ^^


読者の皆様にワルキューレが微笑むことを

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閲覧数:227

投稿日:2009/11/08 12:40:33

文字数:5,235文字

カテゴリ:小説

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