前書き

 これは、「ヴェノマニア公の狂気」を題材にした、ショートコメディです。
 それを納得できる方のみ、お読みください。


 【ヴェノマニア公の後悔】

「じゃあ、本当に後悔しないのね?」
「ああ、こんな醜い外見からはさっさとおさらばしたい」
「わかったわ、これで契約成立ね。あなたはあたしに代償を支払う。その代わりにあたしは、あなたに絶世の美貌を与える」
「これで、僕を今までバカにしてきた奴ら全員を見返してやれる! 見てろよあいつらっ!」
「うーん、いい具合に恨みつらみと僻み根性があわさって、何とも悪魔好みの人材になってるわね、あなた」
「……何だよその言い草は」
「えーっ、これ、褒め言葉よ」
「どこがだ」
「全部よ全部。悪魔に気に入られてんだからもっと喜びなさいよ」
「…………」
「ああもう、そんな顔しない。これから絶世の美男子に生まれ変わるんだから!」
「そ、そうだな。とにかくよろしく頼む」
「まーかせといてっ! それじゃあ、あなたに傾国クラスの美貌を与えてあげるから。どんな男も女も魅了できる魔性の美貌よ」
「おい、ちょっと待て」
「え、何?」
「お前、今なんて言った?」
「あなたに傾国クラスの美貌を与えてあげるって言ったんだけど」
「その後だ、その後」
「どんな男も女も魅了できる魔性の美貌」
「なんだそれはっ!?」
「え? 何か不満でも? だって、そういうのがあなたの望みでしょ? この美貌があれば、どんな男も女もあなたの顔を一目見るだけで、あっという間にあなたの虜になって、何でも言うことを聞いてくれるようになるわよ」
「確かにそれに近いことを願ったが……」
「でしょ?」
「いや違うだろっ!」
「違うって何が?」
「だから、どうして『男も女も』なんだ?」
「だってそれがお約束じゃない?」
「そんなお約束、あってたまるか! 男なんか魅了できなくてもいいんだよっ!」
「え~っ!? 女だけっ!? 折角男も女も魅了できるようにしてあげるって言ってんのに。つまんない人ねえ」
「男なんぞに虜になってほしくないっ!」
「両方魅了できた方が絶対お得だって! 新しい世界も開けるしっ!」
「いらんわそんな世界っ!」
「え~っ、つまんな~いっ! なんであなたそんなにノリ悪いのよ。おとなしく、あたしが授ける男女両方魅了できる美貌を受け取りなさいよ」
「ノリの問題じゃないっ! とにかくっ! 男を魅了できる美貌は死んでもいらんっ! 女だけでいいんだっ!」
「ちぇっ、つまんないの。あなた、いつか絶対に後悔するわよ」
「するかっ!」


 かくして、ヴェノマニア公は悪魔との契約により、女性を魅了する魔性の美貌を手に入れた。しかし、彼自身が望んだとおり、男性を魅了することはできなかった。
 数年後、自らの邸でとある青年に殺された際、ヴェノマニア公が、この自分自身の選択を後悔したかどうか、それはわかっていない。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

ヴェノマニア公の後悔

 真面目な話書いてると、息抜きにアホなネタやってみたくなったりするんですよね……。

 ふと思ったんですが「女性を魅了する美貌を手に入れるはずが、手違いで男性を魅了する美貌を手に入れてしまい、男からは追い掛け回され女からは嫉妬の目で見られて踏んだり蹴ったりのヴェノマニア公」ってネタも面白いかもしれません。
 ……誰か書いてみませんか? ちょっと私には料理しづらそうなネタなもんで……。

閲覧数:864

投稿日:2011/08/26 00:09:34

文字数:1,217文字

カテゴリ:小説

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  • 栖夏

    栖夏

    ご意見・ご感想

    よかったら、私もヴェノマニア公の狂気で作品書いてみたので、
    見て頂けたら嬉しいです。
    http://piapro.jp/t/BnVq

    2011/11/17 03:49:35

  • 栖夏

    栖夏

    ご意見・ご感想

    こんなのあったら面白いかもw
    これだとたしかに後悔しますよねww

    2011/11/15 21:03:59

    • 目白皐月

      目白皐月

      初めまして、目白皐月です。

      この曲初めて聞いた時に思ったのが「あ……男は魅了できないのか」だった私は、いろんな意味で終わってるような気がします。
      どうしてこういう曲を見ると私はネタにしたくなるのか……。

      2011/11/15 23:49:22

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