目白皐月さん

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リトルコンピュータワールド 第六話【君がいない】後編

 そんなことを考えながら、レンは料理をするジェットを見ていた。リンと同じ容姿だが、しぐさがまったく違う。何かをすればするほど、違いが際立つように、レンには感じられた。 「……レン、大丈夫ですか?」  ひととおり使い方を説明し終わったルカが、そう訊いてきた。ジェットはこちらを見ることすらせず、野菜を刻んでいる。 「……俺、出かけてくる」  それだけ言うと、レンは台所を出た。居間では、メイコとカイトが心配そうな視線を向けてくる。 「レン、大丈夫?」 「俺、出かけるから」  答えになってない答えを、レンは返した。 「せめて朝食は……」 「……いい」  空腹は感じていたが、今はただ、家にいたくなかった。レンはそれ以上の言葉は発せずに家を出ると、当ても無く歩き始めた。  どこへ行くとは決めていなかったのだが、気がつくとレンは、公園に来ていた。あの、ブランコのある小さな児童公園だ。レンは公園の中に入ると、深く考えずにブランコにかけた。そのまま漕ぐこともせず、ただ、ぼんやりとする。頭に浮かぶのは、リンのことだ。リンの笑顔、かわしたやりとり、一緒に歌った歌、そういったあれこれが、頭の中を駆け巡る。  レンがそうしてただ座ってしばらくしてのことだった。不意に後ろから、声が飛んできた。 「レン君!」 「おーい、レン!」  振り向くと、ミクとグミが並んで立っていた。二人とも、大きな荷物を持っている。 「ミク姉、グミ……」  ミクとグミの二人はとことこと歩いて、公園の中へと入ってきた。そして、ブランコの前の鉄の柵のところに立つ。 「……何しに来たんだよ」 「レン君、何も食べずに出て行ったって聞いたから、心配になって」 「ご飯届けに来てやったんだ。感謝しろ」  ミクとグミが、それぞれの荷物を開く。出てきたのは、大きなタッパーと水筒。グミの荷物からは、大きめのビニールシートも出てきた。 「ここだって一応公園なわけだし、これ広げて、たまには外でお昼にしましょう」  ミクがにっこり笑う。グミはビニールシートを近くの草地に広げた。ミクがその上にタッパーを載せ、蓋を開ける。中にはおにぎりとその他のおかずが入っていた。 「時間がなかったから、そんなに凝ったものは作れなかったけど。でも、美味しいと思うわ」 「レン、ほら、こっち来いよ」  グミがぱんぱんとシートの上を叩く。レンがぼんやりとそれを眺めていると、グミが呆れた声をあげた。 「お前な~。リンがいなくなって気持ちが落ち込んでるんだろうけど、しゃきっとしろよ」  そんなのは無理だ、とレンは反射的に思った。グミの隣で、ミクが少し困ったような表情を見せる。 「ねえ、グミちゃん。もう少しオブラートに包んだ方が……」 「あたしそういうの苦手なんだよ。それになあ、レン。お前がそんなじゃ、リンが見つかったとき、ぶっ倒れて寝込んでるかもしれないぞ。そんなかっこ悪い姿、見せたくないだろ」  レンはゆっくりと立ち上がって、ビニールシートの方へと向かった。グミがうなずく。 「これ食べて、ちょっとでも元気出せ。腹が減っては戦はできぬって、がくぽ兄しょっちゅう言ってるしな」  グミの言動には悪気はない、それどころかこちらを気遣っての行動であることは、さすがのレンも理解していた。言われるままにビニールシートに座って、おにぎりを手に取る。かじろうとしたところで、ふと動作が止まった。 「……これって」 「あたしの家で、あたしとミクが作った」  疑問をすべて口の端に上らせる前に、グミが答える。 「ちゃんと味見はしたぞ。疑ってるのか?」 「……いや、違うよ」  レンはそれだけ答えると、おにぎりにかぶりついた。ミクがほっとした様子でシートの上に座り、水筒を開けて、中のお茶をカップに注ぐ。  レンは話しをする気になれなかったので、無言でタッパーの中身を胃に収めた。グミは気を遣っているのか、ミクにたわいもない話題を振っている。ミクはこちらをちらちらと気にしながら、グミの話にあいづちを打っていた。  ミクもグミも優しい。ミクたちだけではない。メイコもカイトもルカも、みんなそうだ。事態を招いたのは、間違いなく自分だというのに。 「だから、そんなに落ち込むなって!」  グミにまた励まされてしまった。 「リンは戻ってくるよ」 「……いつ」 「いつかはわからないけど、きっと戻って来る。暗いことばっかり考えてると、本当に暗くなるからな。だから、明るいこと考えた方がいいんだよ」  レンはグミの言うことを鵜呑みにではきなかったが、首を横に振ることはしなかった。  公園でミク、グミの二人とピクニックまがいの昼食を取った後、レンはグミに誘われたので、ミクと一緒にインターネット家に行くことにした。真っ直ぐ帰るのが嫌だった、というのもある。 「ただいまーっ!」  威勢よく自宅の玄関を開け放ち、グミは叫んだ。その声に呼応するかのように、奥から誰かが出てくる。 「ルカお姉ちゃん?」  出てきたのは、ルカだった。三人とも驚いて、ルカをみつめる。 「あ、お帰りなさい、グミ。ミクとレンも一緒なのですね」 「ルカさん、どうしたの? がくぽ兄に、お茶でもって誘われた? それは別にいいけど、がくぽ兄どこ?」  矢継ぎ早に尋ねるグミに、ルカは静かに唇を指に当ててみせた。 「ルカさん?」 「がくぽさん、今ショックで落ち込んでいるので、そっとしてあげてください」 「はあ?」  グミが間の抜けた声をあげる。ルカは沈んだ表情で、言葉を続けた。 「実は昼に、がくぽさんがこちらにいらしたのですけれど……ジェットさんの物の言い方といいますか、態度といいますか、そういうものに腹を立ててしまって」 「……え?」  グミがぽかんとした表情になる。 「それで説教を始めてしまったんですが……ジェットさんが改めるどころかバカにしたような態度だったので、ますます頭に血が昇ってしまって。それで……」 「まさかとは思うけど、がくぽ兄、手をあげたの?」 「……いえ。怒鳴っただけです。ですがそうしたら、ジェットさん、問答無用で肘をがくぽさんの脇腹に叩き込んだんです」  ルカはそこまで話すと、ため息をつき、片方の手で自らの額を押さえた。 「ええ!?」  グミの声がひっくり返る。それはそうだろう。がくぽの趣味は剣道で、毎日鍛錬を欠かさない。対戦相手がダミープログラムしかいないとはいえ、設定上、この中では一番身体の動かし方を知っている。 「倒れたがくぽさんを見てジェットさんは笑い出すし、それでがくぽさん、手合わせだ! みたいに言ってしまわれて。私もメイコさんも止めたのですが、聞く耳を持たず、場所を変えて一戦交えて、ついさっき、完膚なきまでに叩きのめされたんです」  グミはもはや言葉も出てこないようだった。ミクがグミの隣で、不安気な声をあげる。 「リンちゃんががくぽさんを叩きのめしたって……」 「今のリンは、リンであってリンじゃないんです。それに叩きのめしたといっても、持っていたのは竹刀でした。大怪我をしたわけではありません。そこだけは幸いです」  と言ったものの、ルカ自身もこの事態が、いいとは思っていないのだろう。声は沈んでいた。 「……ただ、十四歳の少女に叩きのめされたということで、がくぽさんのプライドがずたずたになってしまったみたいで。さっきまでずっと話をしていたのですが、なんというか、その……」 「あ~、えーと、ルカさん、ありがとう。がくぽ兄、あれで結構精神面打たれ弱いとこあったりするから。ルカさんが傍にいてくれて、良かったと思う」  グミが心ここにあらずと言った表情で、ルカに礼を述べる。ルカは沈痛な表情で、かぶりを振った。ミクが、グミの手をそっと握る。 「そう言うわけですから、しばらくそっとしてあげてください」  ミク、グミ、レンの三人は顔を見合わせた。そして結局、レンとミクの二人は、ここでグミと別れたのだった。 「……ただいま」 「お帰り」  レンとミクが帰宅すると、奥からカイトが出てきた。憔悴したような表情をしている。 「カイトお兄ちゃん、さっき、グミちゃんと一緒にお隣に行ってきたの。そうしたらルカお姉ちゃんがいて……」  ルカから聞いた話を、ミクがメイコに確認する。カイトはそれにうなずいた。 「ああ、そのとおりだよ。……僕もその場にいたけど、信じられない。がくぽがほとんど手出しできなかったんだ」  レンはその話自体は、そこまで疑っていなかった。……あれは、リンの姿をしていても、リンではない。 「……あいつは、リンじゃない」  そう、リンなら、がくぽに喧嘩を売ったりはしない。自分を容赦のない力で殴ったり蹴ったりもしない。喧嘩をしてひっぱたかれたことは何度かあるが、せいぜいその程度だ。動けなくなるまで叩きのめす、などということは、絶対にしない。 「めーちゃんもそう言っていた。外見はリンでも中身はリンじゃない。信じられないような修羅場をくぐっているという設定だから、なるべく刺激しない方がいいって。素手ならともかく、刃物とかを持ち出されると厄介だからって」  その言葉に、ミクは青ざめた。レンも落ち着かない気持ちになる。 「そんなことをするような人なの?」 「みたいだね。……今、めーちゃんが奥で話し合っている」 「話し合いが通じる人?」 「……わからない。ただ、めーちゃんはなんとかするって言ってるから、信じよう。……めーちゃんを」  カイトはそう言って、ミクとレンの頭に手を乗せた。 「それと、これはめーちゃんからのお達しだ。くれぐれも、向こうを刺激するような真似は避けてくれって。刺激しなければ、何とかなるはずだって」 「刺激したらどうなるの?」 「……僕にはわからない。でも、めーちゃんの口ぶりだと、それこそ刃物を持ち出すかもしれない。めーちゃんも僕も、ミクやレンが傷つくようなことは避けたいんだ。この家にいるのが怖いなら、二人はお隣に泊まってもいい」  レンとミクは、そろって首を横に振った。カイトのこの提案が、自分たちを案じてのものであることはわかっている。だが、だからといって、それに甘える気にはなれなかった。 「わたしは大丈夫よ、カイトお兄ちゃん。その人のことは確かに怖いけど、でも、だからって、ここを離れるのは嫌なの。メイコお姉ちゃんやカイトお兄ちゃん、ルカお姉ちゃんと一緒にいるわ」 「……俺も平気」  平気とは言い難い気分だったが、レンはそう答えた。これ以上、メイコやカイトたちを心配させたくなかったのだ。  きっとそんなにしないうちに、あいつはいなくなって、リンが戻ってくる。レンは必死で、自分で自分にそう言い聞かせた。それを否定する心の声を、押しつぶして。

 今回のグミは、男前な女の子という設定にしてみました。
 色々とややこしいことになっています。

 さて、ちょっとお知らせです。
 しばらく、更新をお休みにします。
 実は昨日の夜遅く、友人の訃報が届きました。
 突然のことで、頭と気持ちの整理がつきません。
 小説も書く気にもなれません。
 なのでこの、訃報が届いたときに、もう掲載するばかりだったエピソードを掲載し、しばらく休止という形にします。

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投稿日時 : 2013/05/02 22:38

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