しがない文章書きです。よろしくお願いします。
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そんなことを考えながら、レンは料理をするジェットを見ていた。リンと同じ容姿だが、しぐさがまったく違う。何かをすればするほど、違いが際立つように、レンには感じられた。
「……レン、大丈夫ですか?」
ひととおり使い方を説明し終わったルカが、そう訊いてきた。ジェットはこちらを見ることすらせず、野菜を刻...リトルコンピュータワールド 第六話【君がいない】後編
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「ね~、レン。映画でも見に行こうよ」
「俺忙しいんだけど」
「ゲームしてるだけじゃない! ゲームしてる暇があるのなら、あたしと映画見に行ってよ」
「どういう理屈だ」
「ね~、行こうよ~。映画は一人で見ても面白くないもん。誰かと一緒に見るから楽しいのよ」
「あ~わかったよ。気になって集中できやしない。...リトルコンピュータワールド 第六話【君がいない】前編
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「めーちゃん、『漆黒の破壊者』ってなに?」
カイトが疑問を投げかける。どうやらカイトは、該当の作品を知らないようだった。
「図書館に、昔マスターが書いていた小説があるの。剣と魔法のファンタジー小説よ。『漆黒の破壊者』というのは、その小説に出てきたキャラクター。恐ろしいほどに強くて、冷酷で非情。我が...リトルコンピュータワールド 第五話【漆黒の破壊者】後編
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「……で、いつになったら俺の服、離してくれるの」
「だって……さっきの映画、怖かったんだもん」
「そんなに怖いか? 血が飛び散ったりとか化け物とかが出てきたりとかしなかっただろ」
「そういうのはいいの! だってしょせんは関係ない世界だって思えるもの。でも、自分の近くにいる人が、気がついたら別人になっ...リトルコンピュータワールド 第五話【漆黒の破壊者】前編
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「インターネットって、たくさんのパソコンが繋がっているんでしょう? だったらそのパソコンの一つ一つにも、こんな世界があるのかな?」
「リン、それはおとぎ話、でなきゃ都市伝説だよ」
「でも、あるって考えた方が自然じゃない? だって世の中にはいろんな人がいて、パソコンを使っているのよ。だったら、どのパソ...リトルコンピュータワールド 第四話【異変】
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当て所もなくふらふらと君は行く
見果てぬ何かを探し続けてる
だけどそんなものはどこにもみつからなくて
疲れ果て倒れた君は目を閉じた
空っぽな心を埋めて欲しかった
ただそれだけが望みだったのに
もう動きたくないもう考えたくない
疲れたよ目覚めない眠りがほしい
ガラスの壁どこからか現れて
眠る君を包んで...見守ることが辛くて
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カイトに連れられてアイスを食べたあと、レンはカイトと帰宅した。帰ったら、ミクとリンに謝らなくてはならない。
「……リン、戻っているかな?」
自宅が近づくにつれて、レンは不安になってきてしまった。ミクはカイトに自分を探してくれるように頼んだぐらいだから、落ち着いているだろう。だが、リンの方はわから...リトルコンピュータワールド 第三話【家に帰って】
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自宅を出たレンは、あてもなく街の中を歩いた。パソコンの中の仮想現実の街。建物のほとんどはお飾りで、中には入れない。一部、店などもあるにはあるのだが、店員はいない。そして、売られている品物がどこから来るのか、それは誰にもわからない。
考えてみれば実に奇妙な空間だが、レンはそれを疑問に思ったことはな...リトルコンピュータワールド 第二話【公園のブランコ】
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注意書き
このお話は、「マスターのパソコンの中」が舞台のお話です。
ボーカロイドたちはパソコンの中で、人間のような生活を送っていますが、マスターとやりとりすることはできません。
第一話【パソコンの中】
パソコンの中には、不思議な世界が広がっている。
パソコンのユーザーはその世界を知ること...リトルコンピュータワールド 第一話【パソコンの中】
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「……お魚さんは、いなくなった王子様だったの?」
やがて、リンは静かにそう訊きました。
「そうだよ。君のおかげで魔法が解けたんだ」
言いながら、レンはちらっとルカの方を見ました。ルカは何も言わず、ひとつうなずきました。
「じゃあ、お城に帰るの?」
淋しそうな声で、リンは尋ねました。レンはリンの...昔話リトールド【金色の魚】その十一
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その光があまりにまぶしかったので、レンは思わず目を閉じてしまいした。やがて光が治まったので、レンは目を開けました。
「え……?」
景色が、まったく変わっていました。いえ、いるのはあのお屋敷の庭です。でも、目線が今までと比べて、ずっと高くなっていました。そのため、景色が変わって見えたのです。
…...昔話リトールド【金色の魚】その十
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舞踏会が終わってから、数日が経過しました。そのころには、舞踏会に出た不思議な少女のことが、街の話題になっていました。最初の日には銀のドレスを、二日目には金のドレスをまとって現れた、美しい少女。自分の名前も、どこから来たのかも告げず、片方の靴だけを残して、消えてしまった少女。王子は残された靴を手許に...
昔話リトールド【金色の魚】その九
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そして、舞踏会が開かれる日が、やってきました。お屋敷の奥様は、娘を念入りに飾り立てると、馬車でお城へと向かいました。リンの父もいっしょでしたが、ほとんどおまけのような感じでした。
リンは仕事を終わらせると――今日は、奥様たちが家で夕食を取らなかったため、仕事が少なかったのです――レンのところにや...昔話リトールド【金色の魚】その八
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リンがお屋敷で生活し、魚の姿のレンに助けてもらうようになってから、少しずつ、時間は過ぎて行きました。リンは相変わらず厨房でこき使われ、罵声や暴力を浴びせられていました。そしてレンは、そんなリンを見守ることしかできませんでした。
毎晩、リンはレンのところにやってきて、レンと話をしながら食事を取り、...昔話リトールド【金色の魚】その七
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それから、リンは毎日、夜になるとレンのところにやってきて、一緒に過ごすようになりました。レンはリンからパンをもらい、リンはレンのところで食事をして、朝になるまで眠りました。
きちんとした食事と睡眠が手に入るようになったせいか、やつれていたリンは、肉付きがよくなって健康そうになりました。厨房の仕事...昔話リトールド【金色の魚】その六
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次の日の夜、リンがレンにパンをあげにやってくると、レンは水面から顔を出して、リンに言いました。
「リン、今すぐ水の中に手を入れて!」
リンは驚いて、辺りを見回しました。それはそうでしょう。でも、辺りを見回しても、誰もいません。
「……今喋ったの、誰?」
「今、君の目の前にいるよ」
レンはもう一...昔話リトールド【金色の魚】その五