<クロスリンク・プロブレム ミクの試練! 第2話 ルカの悩み>

(亜須田商事・総務課)

ギューーーーン! スタッ!

ハク:はい、到着です
ミク:OLやってるっていうのは間違いないわけね

***

 ミク達が到着したのは、亜須田商事が入っている、とあるビルの3Fフロア、総務課の部屋だった。10名ほどの社員が慌ただしく仕事をしていた。

 その部屋の中の一角で、パソコンを使って書類を作っている女性がいた。

女性:はぁ~~~ぁ

ミク:ありゃ! ルカ姉さんだ! オフィス服も似合うなぁ、スタイルいいし。でも、なんでため息なんてついてるんだろ?

同僚:ルカ、元気ないね。どうしたの?
ルカ:はぁ~・・あ! ごめん。いや~、あいつ、今日もまた来るのかなぁ、と思うと憂鬱で・・・
同僚:あー、あいつね。全く、このご時世、“セクハラまがい“で訴えられても、言い訳できないよね
ルカ:でもね、あいつ、ここの社長の息子なんだよね~。ストレートに断ると、ここクビになっちゃうんだよね~
同僚:え!? じゃあ、ルカ、もうあいつに・・・
ルカ:バカねぇ、“ストレート”だと角が立つから、毎回やんわりと回避しているのよ。だから“ストレートなセクハラ”はさせてないわよ。私、こんなスタイルだから、高校でも大学でも、言い寄られることが多くて、なんか自然に身に付いちゃったのよ、回避方法
同僚:そうよね~、ルカ、ナイスバディだもんね。でも、あいつ、女性社員なら、見境ないみたいだし。実際、被害者もいるみたいだし・・・
ルカ:ったく・・・

***

ネル:ありゃ、どうやらルカさんの悩みって、上司のセクハラみたいだね。しかも社長の息子って事で、相当に札付きの
ハク:女性の敵です!
テト:ヽ(`Д´)ノ

ミク:そっか。確かこの世界って、私たちの世界とクロスリンクしているんだよね。って事は、ルカ姉さん、大学でもセクハラ受けているんだ・・・。可哀想・・・
ネル:ということだから、最初の問題はこのセクハラをどうにかする事みたいだね
ミク:え!? でも、私、この世界の人間と意志疎通出来ないんだよね? どうするの?
ネル:様子次第だけど、テトの力で、原因を引っぱり出せるはずだから
ハク:その“原因”と闘えるのが、ミクさんなんです
ネル:僕たちは、そのサポートをします

ミク:わかった。でも、まだこの時点では、その“あいつ”が来てないから、現場を押さえられないよね。様子を見ようか

***

 そんなミク達の会話が終わった頃、その“あいつ”が部屋のドアをくぐってやってきた。

亜須田:ど~よ、みんな元気~?

さわり

女性社員:キャア!

亜須田:う~ん、元気みたいだね~。でも今日は、“マイハニー”、に用事があるんだよぉ~。君の相手はまた今度ね~

同僚:(来たな、セクハラバカ・・・)

 亜須田は一直線にルカの側にやってきた。どうも毎回“やんわりと断られている”ためか、ルカには慎重になっていて、今のところ、先ほどの様な行動には出ていなかった。

ルカ:・・・ご用件はなんでしょうか? 私、今、勤務中なんですが
亜須田:つれないなぁ。でも、そこがいい! あ、でも、今日はちゃんと仕事の用事で来たんだよ。ここではナンだから、会議室まで来てくれないか?
ルカ:職務なら仕方ないですね。わかりました。

 ルカは部屋を出ていく亜須田の後ろをついていった。

同僚:ルカ、何かあったら、大声を出してね! 私たち、助けに行くから
ルカ:うん、わかった

 こうして二人は総務課の部屋を後にして、近くの会議室に向かった。

***

ミク:絶対、やばい展開になるわね
ネル:僕もそう思います。でも“職務”って看板をつけられたら断れないのが、社会人の悲しさだよね
ハク:とにかく私たちも会議室に移動しましょう

 こうして4人も会議室に向かった。

***

(会議室)

 亜須田とルカは、会議室に入って、ホワイトボードの前で向かい合った。

ルカ:で、ご用件は?
亜須田:実は我が社の関連会社で、今度、このお菓子・・・というかブレスケア食品を売ることになったんだ。で、それを食べた感想を、君に聞きたいと思って、ここに来て貰ったんだ
ルカ:そういう用件なら、総務課の部屋でも良かったのではないでしょうか?
亜須田:あそこは女性が沢山いるだろ? こういうお菓子の感想を一人に聞くと、他の全員が意見を言いたがるんだ。そこまで数もないから、とりあえず君の意見を最初に聞きたいんだよ
ルカ:わかりました。そういう事情があって、職務なら仕方ないです
亜須田:では、これね。新型で“一粒で十分効果がある”そうだから

 そういうと亜須田は、しっかりした商品パッケージに入っていた“錠剤”を1つ取り出して、ルカに手渡した。

ルカ:では食べます

 パクッ

亜須田:・・・感想はどう? 口の中がスッキリした? 美味しかった?
ルカ:・・・!!!!!(しゃ・・・喋れない!)
亜須田:・・・喋れない、当然だよね、それ、闇ルートで入手した“黙り薬”だからね。当分の間、君は喋れない、大声も出せない

ルカは大急ぎで会議室のドアへ駆け込み、開けようとした。しかし・・・

亜須田:無駄だよ。ここの全てのドアや窓は封印したから。細工しておいたのさ。薬も含めて、さすが悪魔の力、君のような難攻不落の壁を越えるには、ちょうど良かったよ

 亜須田はジリジリとルカに近寄ってきた。ルカはドアをガタガタさせながら、必死に出ようとした。

亜須田:無駄無駄無駄! これでようやく君をクリアー出来そうだ。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

クロスリンク・プロブレム ミクの試練! 第2話 ルカの悩み

☆オリジナル作品第13弾である、「クロスリンク・プロブレム ミクの試練!」の第2話です。

☆戦闘編です。

☆ちょっとリアルなシチュエーションがあったので、出来るだけぼかして表現しました。

*****

hata_hata様が、第1作目のきのこ研究所のイメージイラストを描いて下さいました!。まことに有り難う御座います!。
『「却下します!」』:http://piapro.jp/content/oqe6g94mutfez8ct

☆hata_hata様が、第2作目のきのこ商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『causality』:http://piapro.jp/content/c0ylmw2ir06mbhc5

☆nonta様も、同じく商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『ようこそ!、きのこ駅前商店街へ!』:http://piapro.jp/content/dmwg3okh7vq1j8i1

☆あず×ゆず様が、第8作目の部室棟の死神案内娘“テト”を描いて下さいました!。本当に有り難うございます!。
『おいでませ!木之子大学・部室棟へ♪』:http://piapro.jp/content/rsmdr1c3rflgw7hf

閲覧数:466

投稿日:2010/11/23 16:38:23

文字数:2,328文字

カテゴリ:小説

  • コメント3

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  • tamaonion

    tamaonion

    ご意見・ご感想

    こんばんは。続き、読ませてもらいました。

    OLと上司、企業内の設定。ステレオタイプですが作品の設定がしっかりしてて、読んでて飽きません。
    通常の日常設定と異なり、別世界とクロスリンクしてる、となると、不思議な新鮮さがあります。

    前にコメントした方も、書かれてましたが、バカ?息子は悪巧みすればするほど、やられがいがあるんですよね(笑)。その点ちょっとかわいそうな気がします。

    どんなふうに料理されるのか楽しみです。

    ありがちな作品の設定も、初期設定でちょっと違う視点から見られると、とても面白いですね。
    enarinさんは筆力がおありなので、心理描写の方も楽しませていただいてます。

    続きが楽しみです。

    それでは、また!

    2012/10/21 19:27:09

    • enarin

      enarin

      tamaonion様、今晩は!

      > ステレオタイプですが作品の設定がしっかりしてて、読んでて飽きません

      有り難うございます! 今回はミクの3妖精以外、対象の家族によって設定がコロコロ変わる、変則マッチなので、飽きづらいですが、毎回切り替えないと行けない欠点もありますね

      > となると、不思議な新鮮さがあります

      はい。それがないと単なるお悩み解決お話ですからね。今回はセクハラでしたが、次回のリンレンはちょっと変わった設定です。

      > バカ?息子は悪巧みすればするほど、やられがいがあるんですよね(笑)。その点ちょっとかわいそうな気がします

      この亜須田の最後に関しては、コメントでも賛否両論でした。存在そのものすら消えてしまうのは、ちと残酷だったかも。まぁでもルカねーさんにしたことを考えると、救われなかったとも言えます。

      > どんなふうに料理されるのか楽しみです

      毎回、悲惨な結末を迎える悪役達ですが、このシリーズは特に悲惨です。でも悪役が憎めない悪役ではなく絶対悪的位置づけなので、なんとなく、納得してしまう面もあります。

      > 初期設定でちょっと違う視点から見られると、とても面白いですね

      有り難うございます。特にクロスリンクした世界の家族達には、あまりファンタジーな事は起こりません。底を解決するのが、ファンタジー面にいるミクさんなのです?♪

      > enarinさんは筆力がおありなので、心理描写の方も楽しませていただいてます

      有り難うございます! ミクさんの心理描写は、後半の苦戦状況になると多くなります。お楽しみに♪

      > 続きが楽しみです

      有り難うございます! お楽しみ下さいませ!

      このたびのご閲読、コメント、有り難うございます!

      2012/10/21 20:33:21

  • nai☆

    nai☆

    ご意見・ご感想

    あぁあぁぁぁっ! ルカさんがぁ!! ルカさんがぁ~!!!

    しかし、社長ご子息は悪魔の力を…って、デビルマ○かよwww
    その悪魔は、蛇に跨ったアスタロトとか~w
    でも、ちゃんと豊饒の女神イシュタルに関わらせるなんて、しかも『めぐみ』だなんて、さすがです。
    んで、悪魔倒されると、憑かれてた人は存在そのものが消えちゃうンすか。むごい…。
    “紅世の徒”に喰われちゃって残ったトーチが消えると、最初からいなかったことになってしまうアレに比べれば、こやつは自業自得ってところもありますがw

    >『リンレン好きならよっといで』
    横レスになりますが、やは、懐かしい。ぎんこさんの『よっといで~♪』のコメント欄をあらためて見に行ったら、なんとenarinさんの初めましてコメ発見! nontaさんのコメもあるしw 当時は気づかなかったけど、皆さんと知りあう以前から、結構ニアミスしていたんですねぇ~(*^_^*)

    2010/12/10 23:18:51

    • enarin

      enarin

      nai☆様、今晩は!

      > ルカさんがぁ?!!!

      シナリオとはいえ、本当にすまんです。とりあえず”犯行前”までで止めました。今回、ミクの家族に対応する人物は、結構スレスレな内容の問題を抱えてます。ルカさんはセクハラです。ピアプロの色としては、ちょっと合わないテーマだったと思ってます。なので、1話分で解決です。

      > デビルマ○かよwww

      いや?、すいませんです。でも実のところ、本家のネタ(社長の息子の悪魔化)を知らずに書きました。まぁこの手の設定は結構見かけるので、なにとぞお許しを? m(_ _ )m

      > 蛇に跨ったアスタロトとか?w

      この元ネタはご存じのゲームです。他では少年だとか色々設定が異なってますが、今回はこの姿にしました。

      > 豊饒の女神イシュタルに関わらせるなんて、しかも『めぐみ』だなんて

      めぐみの部分は合わせられたので合わせました。悪魔を倒して得られる変身能力はその悪魔に関係する存在の能力を持っているボカロにしてます。ただボカロとその存在とは、常に合わせられないです。今回はメインキャスト以外は、2話分だけ出るとか、能力としてコスプレする対象だとか、メインは少ないですね。

      > 憑かれてた人は存在そのものが消えちゃうンすか

      これは昭和時代のちょっとマニアなコミックでは定番だったのですが、やはり編集さんが入ってくるのか、”消えるのはそういう事をしている人物=ここではミク”とされているようです。このシリーズでは”勧善懲悪”をベースにしているので、問題を起こしている相手=悪、としてます。某ゲームシリーズが好きな私にしては、意外な設定だと自分でも思ってます。

      > 自業自得ってところもありますがw

      そういうイメージを出来るだけ前面に押すことにしてます。やはり残酷な設定に違いはないですからね。

      >『リンレン好きならよっといで』

      これはびっくりしました! ぎんこ様が投稿されたのが、2008/5/15ですから、結構前から、この小説の読者様方と私は、すれ違っている事になりますね。事実は小説より奇なり。面白いエピソードだと思ってます。ちなみにこのイラストが採用された動画の曲は、今でもiPodに入ってます。楽しい動画でした。

      このたびのご閲読、コメント、有り難うございます!

      2010/12/11 20:34:09

  • nonta

    nonta

    ご意見・ご感想

    ルカさん、これは困るでしょうね(゜∀゜;)
    しかしこの社長の息子、ルカさんに上手くさばかれてしまってるからと悪魔に魂を売り渡してしまうとは救い難い奴で・・・。
    ・・・ほんとに救えない奴でしたねwww
    もうこれはしょうがないですね(*´σー`)
    そしてリンレンは・・・漫才師?
    関係ないですけど、ぎんこさんが絵を描いた『リンレン好きならよっといで』の動画をふと思いだしました。(あれは普通にデフォの衣装でしたが)

    2010/11/25 19:39:17

    • enarin

      enarin

      nonta様、今晩は!

      > これは困るでしょうね(゜∀゜;)

      今回の話は”悩み”であり、現実世界とクロスリンクしているので、内容はほぼ同じで悪魔が関係しているという趣向です。しかし同じ内容のため、シナリオが”生々しい”感じになってしまって本当に恐縮です。”現実世界でもありうる内容”故に、いつものファンタジック、SFチックさ、少なくて…。

      ということでルカさんの悩みは”上司からのセクハラ”です。実際、このシチュでは回避名人のルカさんですら、本当に困ったと思います。

      > 悪魔に魂を売り渡してしまうとは救い難い奴で・・・ほんとに救えない奴でしたねwww

      本当にどうしようもないヤツとして書きました。何せ対象悪魔が倒されると”存在が消される”ため、それ相応の”ダメさ”がないと、”ちょっとこの展開は極端すぎる”と思ってしまうので。いずれにしても今回は、完全に犯罪の範疇の事をやったわけで、この結果はやむなし、です。

      > もうこれはしょうがないですね(*´σー`)

      いつもの展開だと、考えを直すとか退魔されて普通に戻るとかなんですが、今回は厳しく行きました。

      > 漫才師?

      はい。えー、まぁ、お笑いの裏世界もいろいろあるそうで…

      > 『リンレン好きならよっといで』

      あ! 私も好きでした! iPodに曲が入ってます。で、今回のリンレン漫才師は、もうちょっと豪華な劇場でお笑いライブって感じです。

      リンレンの悩みとは? お楽しみに!

      このたびのご閲読、コメント、有り難うございます!

      2010/11/25 22:20:44

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