二六時中、取り巻く喧噪が、頬を撫でるそよぎのなか隨に舞った
可成り懶さに歌う聖歌隊、頓痴気な列をなし歩く言葉
錻力を戛々打つ通り雨が錆びた風の余波のなか矢庭に降った
雨に濡れるのも厭わず歩く、願を懸けるように傘を閉じて
いつか終わりはくるんだ。その希望にひたすらに縋った。
食うや食わず集めた一滴の夢で花々、千々に代々に咲き乱れて、夢違うこの国を彩って
カン・ヤ・マ・カン。鳴り響くはじまりの台詞。僕らは
楽しいのか恋しいのか悲しいのか寂しいのか
わからないような物語の中で、溢(あぶ)れた感情に目を瞑って踊る人形だ
終日(ひねもす)釘を叩く鎚の音、引きも切らぬ歩みのなか轟に鳴った
非道く野放図に走る車の騒音で抜け落ちた言葉を探した。
広告電燈吐き散らす嘘、夜の目も寝ずに喋る街に耳を塞いだ
か弱い言葉は埋もれて消えた。伝わらない八釜しの無言劇(パントマイム)
変わらない世界恨んで、変われない自分を許した。
云うに云えず積み上げたあの日の言葉よ遍く其処に此処に散らばっては幸(さきわ)うこの国を壊して
カン・ヤ・マ・カン。響き渡るはじまりの歌。僕らは
愛しいとか嬉しいとか苦しいとか泣きたいとか
なみなみと注(つ)がれた物語の中で、零した感情を見失って惑う旅人だ
砂を噛むこの旅は続いてくようだ
甲乙(だれかれ)泣いて生まれてくるのは選べない世界を呪ってるからだ
本当に今が仕合わせなのかい?望まない舞台で踊ることが?
カン・ヤ・マ・カン。鳴り響くはじまりの台詞。僕らは
楽しいのか恋しいのか悲しいのか寂しいのか
わからないような物語の中で、溢(あぶ)れた感情に目を瞑って踊る人形だ
ステテレカン。錻力叩く五月蝿い行進
僕らは嬉しい時笑いたいし、悲しい時泣きたいけど
遅れないように足並みを揃えて自分の感情に嘘をついて歩く兵隊だ
八釜しいこの日々は続いてくようだ
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もっと見る「月並みの塔とイデアの月」
照らしはすれど暖めることのない
崇高な月の光をこの胸に
見上げた夕さりの空をきわやかに分かち聳える無骨の塔
下生えの蔦(つた)がひたと絡みつき、小暗い御空(みそら)に塗(まみ)れ行く
身体(からだ)と意志とを脱ぎ捨てて
未完の景色に色を塗れ
誰もがまだ見ぬイメージで
光で...月並みの塔、イデアの月
HaTa
そこのけ、広き海へ渡る船、
帆、よく揺れて知らぬ瀬戸も青
釣り餌を食む魚や水面に待ち
〈そこのけひろきうみへわたるふねほよくゆれてしらぬせともあおつりえをはむさかなやすいめんにまち)
青めく空さえ飲み込む摩天楼に
治癒もせぬ羽を癒やす鳥、
星、引き連れ夜更けへ渡る中
(あおめくそらさえのみこむまて...暗ム明ラムパングラム
HaTa
夕立呷り朱(あけ)染まる市街がぐでんぐでんと夜を吐いて
鬼灯みたいな飛行船団が寝入りばな君を誘った
左手(ゆんで)すり抜けたペーパーバックは溺れたように宙を舞って
夢と現実を綯い交ぜにしては歪な地平の夢路を行くけど
起きれば昨日の延長がただただ続いていくだけで
過ぎたる景色の群像を追って、走って、手...螺子式夢遊船
HaTa
異国の街のあなたに向けて 紙の飛行機、海に浮かべる
知らない街のあなたに向けて 送電線に手紙をくくる
行き場所のないあなたに向けて 一握の砂、小瓶に詰める
生き場所のないあなたに向けて 林檎の弾丸、背に撃ち込んだ
記憶、棺、日射病、苦痛、赤いジェラニューム
女衒、笑い、アパルトマン、焼けつく太...異国の街
HaTa
あやふやで不確かな言葉が澱のように積み重なっては
淀み、惑い、形をなくして喉の奥に溶けていく
あなたを語るに足る言葉は生憎、持ち合わせてなくて
戯けて口噤み笑っては、路傍の塵芥一つ蹴った
曖昧が募って
迷妄、渦巻いて
それでも伝えたくて
同じ言葉ばっかを切っては繋いでまた積み上げて崩して
もううんざ...言葉とエポケー
HaTa
うらぶれ旧市街 靴の音
夜天銀天の夜もすがら
調子の外れた樂音で沸く
虚しく豪奢なパレードだ
鋳型にはまった瑪瑙の星
赤い幻燈 夜市を射す
祈りをま喰らう広場の慾
踊れぬ私は所在なげ
蓄音機から天の声 戯曲を諳んじるように語る
やがて言の葉は散りぬれど 伝えることなど何一つないさ...そぞろサンクスギビング
HaTa
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