広場の中央で1人の歌姫が歌っていたのは、余りにも哀しくて美しいバラッドだった。
桃色の髪が春風に揺らされ、歌姫の髪にあった黄色いリボンが飛ばされていく。
それでも、歌姫は誇り高く歌い続けた。


――昔々、あるところに黄の国と呼ばれる王国がありました。
王国には、玉のような双子のお姫様と王子様が生まれましたが、黄の国では双子は「災いを運ぶ」とされ好まれず、仕方なく姉を王の子として、弟は母方の公爵家の子として育てられました。
そして、2人は互いに姉弟の存在を知りながらも、会えない幼き日々を過ごしました。
姉のリン姫は、勉強は苦手でおてんばでしたが、ダンスや歌はとても上手くそれを誇りに思っていました。
逆に、弟のレンは乗馬や剣術は苦手でしたが、何事も冷静に判断し勉強も良くできました。
互いに引き離された地にいながら、2人は遠く離れた片割れに思いをはせ、いつか会える日を楽しみにしていました。

しかし、そんなある日の事。
王国内に今までに無かった疫病が流行りました。
初めての病魔に政府は何の手だても打てず、多くの民衆が死んでいき、病魔はついに王宮にまで広がりました。
お后様がまず倒れ、そして王様の崩御……立て続けた不幸がなんとか収束したのは、それから2年も経ってからでした。

「国は疲弊しきっている、民の心も乱れ国に対する不満が募っています。」
「王座がいつまでも空位のままでは、民衆は更に不安になるでしょう。」
「「どうか王女に。」」

たくさんの大臣や貴族に迫られ、幼いリン姫は額に玉の汗を浮かべて頷いた。
いや、頷かざるを得なかったのだ。

こうして、若きリンが即位をすることとなった。
この時、リン僅か齢14であった。

即位式の前日、赤ん坊の頃に引き離されたレンが祝いを述べにやってきた。
胸を弾ませながら、玉座に座っていると正面の扉が開き、ゆっくり少年が歩いてきた。

自分と良く似た顔、同じ色の金髪、同一の碧眼、そして優雅なたたずまい。
予想していたよりもずっと立派な片割れに、リン王女は驚いてしまった。

(レンは公爵家の人間に相応しいわ。でも私は?女王に相応しい?それだけの器量を持ち合わせているのかしら。)

不安そうに胸の前で手を握る王女を見上げて、レンは静かに笑いかけた。

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  • 非営利目的に限ります
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悪ノ叙事詩1

悪ノ娘・悪ノ召使い、その他悪ノ派生シリーズをごたまぜにした自己解釈小説です。

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投稿日:2009/05/17 02:11:06

文字数:955文字

カテゴリ:小説

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