その日の夜、MEIKOの部屋。部屋の中には部屋の主であるMEIKOの他、KAITOとルカも居た。ボーカロイドの各部屋には防音処理が施されている上に、それぞれの入口にロックがかかる仕様なので、この話は多少大きな声で話したとしても、部屋の外には漏れないはずだった。
 「それじゃKAITO、今日、私達がショッピングに行っていた時に家に居た時の話を聞こうかしら。分かっているとは思うけど、今更しらばっくれるのは無しよ」
 「めーちゃん、もちろん分かってるよ。確かに僕は今日、皆とショッピングに行くのをやめて、ずっと家に居たけど、それはめーちゃんの予想通り、安田君に話を聞く為だったんだ」
 「…すいません、この件は私が安田さんに伝えました。KAITO兄様から、MEIKO姉様を含めた誰にも漏らさないでほしいといわれました」
 「…事情は分かったわ。…で、結果はどうだったの?」
 「安田君は僕の思っていた以上の事を話してくれたよ。安田君はやっぱりミクの事が好きだって」
 「やっぱり…」
 MEIKOが納得したように話す。
 「今日、ショッピングモールに行った時のミクはずっと上の空で、何か他の事を考えている様子でしたわ。あの様子だったら、きっとリンもレンもミクの事がおかしいって薄々気がついていると思いますわ」
 ルカが昼間の事を思い出しながら話す。
 「まあ、ミクの様子がおかしいのは今日に始まった事じゃないわ。ここ最近、家にいる時やレッスンの時もそうだもの。…それで、話の詳細は?」
 「ああ、順を追って説明すると、安田君がミクの事を好きになったのはこの夏の終わりのミクのバースデーライブからだったらしい。何でも、佐藤教授からチケットをもらって野口君と一緒に行ったそうだ。安田君曰く、ライブのミクの様子が天使みたいで、気が付いたら好きになっていたらしい。僕が気が付いたのは安田君がミクとリンとレンを遊園地に連れて行ってくれた帰りの時だったけど、あんな分かり易い態度を1日中取っていたら、少なくともリンは気がついている気がするな」
 「そうよね。リンは結構鋭いから。…それで、安田君は人間である彼らとアンドロイドである私達の恋愛については何か言っていたの?」
 「ああ、安田君は過去のニュースのアーカイブは全て調べて、その結果人間とアンドロイドが結ばれた例というのが無い事は既に調べていたよ。安田君曰く、人間とアンドロイドの恋愛は、アンドロイドが生まれてから長い時間がたってるにも関わらず無いという事は、この事がタブーであると思われる事、そしてその事を糾弾された時に耐えられる自信は無い事は話してくれたよ。でも、僕の受けた印象だと、人間とアンドロイドの種族を超えた恋愛と言う事を除けば、安田君とミクは普通の恋愛だね」
 「でも、実際問題、それが一番の問題なんじゃない。もしこの事が世間にばれてみなさい、最悪、悪意を持った存在にスキャンダルにされかねないのよ。そうなると、ミクがどれだけ傷つく事になるか、KAITO、その事、分かって無い訳じゃ無いでしょ?」
 MEIKOが少し怒ったように話す。
 「うーん、そうなんだよね。僕から見た感じだとお似合いのカップルなんだけど。僕としては応援してあげたいんだけどね」
 「もう、KAITOったら。…ルカ」
 「はい、MEIKO姉様」
 「ミクを監視してちょうだい。もし、2人を見ていて安田君がミクに何かしようとしたら、止めても構わないわ」
 「分かりましたわ。MEIKO姉様」

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初音ミクとパラダイムシフト1 2章16節

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投稿日:2016/10/24 23:08:03

文字数:1,459文字

カテゴリ:小説

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