とくに田舎でも都会でもない、
その両方の中間ぐらいのこの街に越してきて3年。
最初は不便で仕方がなかったこの街にも
今ではすっかり慣れてしまい、逆に都会は
騒がしかったと思うようになってきたこの頃。

俺の住んでいる街にはなぜかめったに見られない
世界最新鋭の歌を歌う機械があるらしい。
機械というのだからめちゃめちゃでかく、
ごつごつしたものだと思っいたのだが
そんなことはないらしい。
実際のところは俺も見たことはないし、
その情報も自称情報通の友達のあまりに頼りにならない噂。
だからそんなもの信じていなかった。

そんな中途半端な街にいる俺はやはり中途半端で
やりたいこともなく、なにかがこの先にあるわけでもなく、
ただ学校に行き、友達とだべり、寝る。
たまにそのサイクルの中にバイトが入るだけ。
そんな毎日を送っているうちにいつの間にか越してから3年たっていた。
そして越してきたころは高校生だったのにいつの間にか
大学生になっていた。

 
今季節は冬。
同じ講義だったのやつらはバレンタインだとか
長期休みに遊ぶ話をしたりしていた。

今日の講義は終わった。時間は12時30分。
もう帰ろう、そう思っていた時だった。

「お前またぼーっとしてる。まぁ、それがお前か。
 てか、どうせ暇なんだからちょっと付き合えよ」

そお俺に言ってきたのは南野恭也(みなみのきょうや)。
先ほど言った機械の噂を俺に教えてきたやつ。

恭也についてきてついたところは、学食。

「やっぱ昼飯はラー定っしょ!」

ラーメン特盛りにコショウをかけてる恭也がそう言った。
俺もラーメン並にコショウをかけ、あいてる席に向かった。

大学の学食は和、洋、中の3種類あり、
俺と恭也は中華率がかなり高い。
その理由は安くて味は普通で席が空いてるからだ。

俺は席に座り、その向かいに恭也が座った。

「なぁ、前の歌う機械の話覚えてるか?」
ラーメンを食べながら恭也が話しかけてきたので
俺はこれまたラーメンを食べながら頷いた。

「あれって、人型らしいぞ。しかも結構リアル。
 そんでもって俺の知ってる限りは4体。
 女3体の男1体らしいぞ。
 そんでもってこの学校に1体――――」

「あっれー!先輩も中華ー?
 気が合うねー!一緒に食べよー?」

そういってきたのは鏡音リン。
大学からこの街に越してきた一つ年下の後輩。
なぜ知り合ったのかは忘れたがたしかそうでもない理由だった。
部活には入っていないが音楽が好きで毎日の様に
カラオケに行くようだ。
俺も連れて行かれたことがあるがその歌の上手さはかなりのもだ。

「ぶはっ・・・おぉ、リンちゃんじゃん」

「恭也先輩汚なぁぃ。先輩たちなんの話してたんですかぁ?」

リンは席に座りティッシュを恭也に渡した後、
あんかけ焼きそばを食べ始めた。

「おぉ、サンキュ。・・・あれだよあれ、歌う機械」

それを言うとリンは驚いたような顔をした。
「…あれね。信じてるんだ、恭也先輩」

「あくまで噂話だろ?噂好きにはたまらないネタだよね」
ニコニコしている恭也はテンション高めに話した。

「人型ロボットなんているわけないじゃん」
若干不機嫌そうにリンは恭也と話していた。

「人型ロボットなん?機械って言うから
全く動かないものかと思ったら違うんかな?」

「あ・・・そ、そうねそうだよきっと」
完全にごまかしてる気がするがあえて突っ込まないことにした。

しばらくして、二人はカラオケに行くようだったので
俺は帰る前に夕飯の買い物に行くことにした。
ちなみに俺は一人暮らしなのでそういうことは
自分でしなければいけない。

街の栄えている所についた。
ここにはなんだかんだでいろいろなものがあり
ここに来れば一通りのものがある。

――買い物をし終わったあと、歩いて家まで帰る途中。

「・・・せん!!―――!」

なにか叫び声に近いものが聞こえる。
通り道の近くから聞こえるので言ってみた。

「おい姉ちゃん、いいことしねぇ?」
「そおそお、俺らと楽しいことしようぜ?」

「いやです!やめてください!」

女の人――俺とタメか少し上の感じがする女性が
男の人4人とお話…というかあまりにベタすぎる
ナンパを受けている。
この中途半端な街でもナンパが存在することに驚いた。

そして、もうひとつ驚いたことが。
その女の人の容姿があまりにもきれいだったからだ。

大きな瞳、整った顔、長い緑の髪の毛、
服の上でもわかる出るとこは出てる体系。

そしてなにより透き通るような声。
完全に文句の言いようのない人だった。

「――おい、お前、邪魔だからどけやぁ!」

ぼーっとしていたらナンパしている男の人が近くまで来ていた。
女の人の腕を引っ張ってどこかに行こうとしているようだ。

ふと、女の人と目があった。
泣きそうな顔をしていて助けを俺に求めているようだった。

これがなんかのゲームならばどの男の人でも『助ける!』
のコマンドを選ぶのだろう。
だから俺も選ぶことにした。

敵は4人。
まず一番近くにいた人の腕を左手でつかみ、関節技を入れ
その後に地面に這いつくばわせた。

「・・・・な!?」

完全にあっけに取られている男の人達。
そのすきに女の人の手をつかんでいる男の手を足で蹴飛ばし、
どこから持ってきたナイフを使ってきたのでそれを
間一髪交わした。そして体制をとりなおした後
逆の足で顔を蹴飛ばした。

続いて近くにいた人が顔を蹴飛ばした人を抱えていたので
そのまま殴り飛ばした。

そしてあと一人!
というとこでいなくなっているのに気がついた。


「あ、ありがとうございます!」

女の人が大きな声を出してお礼を言った。

「あ、大きな声出してしまいましたね。すみません
 お怪我はありませんでしたか?」
自分の気付く限りはない、ということを告げた。
「そうですか…って右肩怪我してるじゃないですか!!
 どうしようどうしよう…とりあえずこれ使ってください」

右肩をみると少しだけ怪我をしていた。
女の人がハンカチを渡してきたので使わせてもらうことにした。

「あ、あの、よかったらお家まで一緒に行かせてもらいますが」
そこまでしなくてもいいというがその女の人は
どうしてもというので仕方なく頼むことにした。


一番軽い荷物をもってもらい、自分の住むマンションまでいった。

「あれ・・・?ここって・・」
不思議そうな顔をしている女の人が少し気になったが
それでも自分の部屋に行くことにした。

そして自分の部屋の前に着いた。

「あれ??あれれ??」
完全に訳のわからないことを言うので
この人は少し危ない人なんだと理解し、
家まで送っていくということを告げた。

「え…いや、私の家はここです…けど…」

と、俺の部屋のとなりの部屋を指さしている。

…あぁ、完全に変な人なんだということを
おもっているとどうやら顔に出てたらしく
「いや、ホントなんですってば!
 私の名前、書いてあるじゃないですか!
 ちなみに私の名前はミクです!」

お隣さんはいないと思っていたのだが
表札的なものを見てみるとそこには確かに
      『初音ミク』
と書いてあった。

「ね?嘘じゃないでしょ?」

これは頷くしかなかった。

「では改めまして、今日からここに
 引っ越すことになった、初音ミクです!
 初日からご迷惑おかけしました!
 これからよろしくお願いしますね!」

深々と頭を下げている。
これはガチなのかと、やっと信じてきた。

「今日のお礼ということで、後でご飯作りに行きますね!
 それじゃぁ後で!」

ドカン!とドアを閉め、勝手に夕飯を作ってくれることになった。
とりあえず自分も部屋に入ることにした。

――着替えて、ベッドに横になり今日のことを考えていた。

初音ミク・・・か。よくわからないがとりあえず
夕飯を作ってくれるらしい。
騒がしい人だったが…やはり可愛かった。

考えているうちに眠くなってきた、少し寝よう。


しかし、この出会いが俺の中途半端な
人生を変えてくれることに俺が気づくのはもう少し先になりそうだ。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

AiM&Yu その1

中途半端な生活を送っていた俺。
しかし、ひょんなことから『初音ミク』という人に出会った。
なんとその人はお隣さん。
そしてほかにも秘密があるようだ。
中途半端な人生がこの出会いで変わっていく。

初書きですが暖かく見守ってください

閲覧数:98

投稿日:2010/02/28 23:41:15

文字数:3,400文字

カテゴリ:小説

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