「クリスマスね」
「実際には一日遅れてるけどね」
「いいのよ、近似してクリスマスだから」
「……なるほど」

 どうして僕が、初音と一緒にデートなんかしてるんだって?
 それは――二時間前に遡る。




≪僕と彼女の不思議なクリスマス≫




 二時間前。

「よーし神威付き合え」
「何をいきなり言い出すんだよ」
「いいから!!」

 わかった!! 解ったから僕の手を引っ張るな!! 手が抜ける!!
 ……ということで、僕は初音とデートする羽目となった。
 なんでもルカのクリスマスプレゼントを買いに行くらしい。ルカはたこ焼きが好きだからか、たこ焼き器を買うらしい。あれならデパートに行けば売ってることだろうし、確かに無難なプレゼントかもしれない。

「ルカがそれがいいといった訳じゃないんだけどね。グミがそれがいいんじゃないか、って」
「グミが?」
「そうそう、そしたらスマフォ持ってるじゃん? それであっというまに調べてくれたってわけ」

 ははあ、なるほど。
 グミの算段か。今回の流れは。

「……で、デパートに着いたわけだが」
「エスコートしなさいよ」
「えっ」

 何を言い出すんだとおもいきや、『エスコートしろ』? なんだ、初音熱があるのか?

「さ、さっさとエスコートしなさいよね」
「初音どうした、熱でもあるのか」

 あ、つい口が滑った。

「なによ?! さっきから熱があるのかとか私の感じを腫れ物に触るような感じで見つめちゃってさー!! まったくイライラしかしないというの!? いい加減にしてよ!!」
「おい、ここデパートだぞ……」

 ああ、デパートの入口だからお客さんが一杯見ている。店員さんの目も厳しい。すいませんすぐになんとかしますんで……!

「なあ、初音」
「クリスマスプレゼント」
「へっ?」
「私にクリスマスプレゼントはないのかしら!!」

 ざわ……ざわ……。
 どことなくいやーな雰囲気が流れてしまっている……。これはいろいろとまずい……。まずすぎる……。

「……く、クリスマスプレゼント……」

 なんだか、周りのくだまきにも変なオーラが流れてきている。それをしろ! と言っているみたいにも思えた。
 解ったよ。……するよ。
 そう呟いて、僕は初音に唇を近づけた。
 初音もそれには予想外だったらしく、顔を赤らめた。うるさい、君がプレゼントをよこせっていったんだ。
 そうして僕の――唇が、初音の唇に触れた。











--










 目的のたこ焼き器も無事に買えて、僕らは帰路に着いていた。

「……」
「……」

 お互いに何も言うことはない。
 そのとおりかもしれない。あんなことがあったのだ。
 もしかしたら、嫌いになったのかもしれない。

「…………ねえ」
「はい?」
「……ありがと」
「……ああ」

 夕日が沈んでいた。いい景色だ。
 僕はずっとそれを見ていた。初音もそれを見ていた。同じ景色を、二人で共有していた。

「……急いで帰らないと、ルカが待ってるね」
「そうね」

 そうして――僕らは手をつないで、家へ帰る道を歩くのだった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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僕と彼女の不思議なクリスマス

永遠に爆発しろ


初音と神威のラブコメとか書きたいですね。設定は「僕と彼女の不思議な~」シリーズをそのままで。

閲覧数:160

投稿日:2012/12/26 18:59:07

文字数:1,316文字

カテゴリ:小説

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