“始まってしまったなら

逃げられない 否

逃げることしかできない”

リンとレンは道なき道を走る。時々後ろを振り返って確認するが奴等はまだ追ってこなかった。

「レン、どうしよう!?このままじゃ本当に・・・」
「落ち着いて!リン。」

パニックになりかけたリンを宥めるためレンは足を止めた。息を整えてから言い含めるように続ける。

「大丈夫だから、信じて。」
「信じろって言ったって・・・」

何を?

リンがこれ以上無いほどの恐怖に襲われているのは見てとれた。レンでさえ、正直心中穏やかではない。しかし、リンを守るという思いがともすれば挫けそうになるレンを奮い立たせていた。

「いいか?あの兎は鬼は夜しか動けないと言っていた。なら、朝まで逃げるんだ。」

勿論簡単なことではない。月はまだ自分達の真上にいるのだ。しかしそれ以外の方法が思いつかないのも事実だった。

「朝になれば森も抜けられる。今は逃げるしかないんだ。」

レンも必死だった。今にも追いつかれるのではないかという焦りもある。長く立ち止まっている時間はない。

「・・・分かった。」

どのみちこのままでは命はないのだ。リンも覚悟を決めた。

「賢明なご判断だと思いますよ。」
「!!」

リンとレンの隣にはいつの間にか兎が佇んでいた。二人は思わず身構える。

「ああ、ご心配なさらずに。私兎は案内人、この遊戯には参加いたしません。」

ただの傍観者ですと兎は言う。しかし、油断はできない。二人は少しずつ距離をとった。

「我が主はもうすぐそこに来ております。盛り上げるためにもお早くお逃げ下さい。」

こんなに早く捕まってはつまらないでしょう?

「言われなくてもそのつもりだ!」

言うなり二人は走り出す。再び暗い森へと分け入っていった。
闇の中白い兎は囁く。

「そうしなさい。青い目を持つ愚かな生け贄。」

風が木々を揺らし、啼く。

「抗う術は一つだけ。」


終演まで、踊りなさい。

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鬼遊戯④

兎はこんなのが居たらむかつくだろうなと思って書きました。

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投稿日:2009/12/19 13:52:09

文字数:837文字

カテゴリ:小説

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