Rin side.


ピピピピピ……

けたたましい目覚まし時計のアラーム音が鳴り響く。

「ん~…」

意識もはっきりしないまま目覚まし時計を止め、むっくり起き上がる。

レンがもう先に起きているのか、カーテンはきっちりと両端に止められている。

窓から差し込む眩しい光で少しばかり目が覚めた。

あたしは二段ベットの上に寝ているので、いつも飛び降りてレンにけりを食らわせるのが好きなのだが、あいにく同じ時間に起きていない。

大人しく階段から降りることにした。

「ふぅ」

軽いため息をつく。

最近、不思議な夢を見る。

前世の自分を見に行く夢で、何故かここ数日すべての夢がつながっている。

今日は終結にあたると思われる夢を見た。

――素晴らしい姉弟愛を感じる悲しい結末だった。

もしかしたら、本当に自分の前世の姿なのかもしれない。

「おはよう、リン」
「おはよ。今日起きるの早かったね」
「あぁ、朝から後頭部に強烈な衝撃が走るのはごめんだからな」

レンは呆れたような調子でそういうと、台所に入っていった。

家事はほとんどレンがこなす。

洗濯のみあたしの担当だ。

「はい」
「うわー!フレンチトーストだ!オッシャレぇ~」
「それはどうも。つか、俺二週間に一度はコレ出すぞ」
「そうだっけ。すごく久しぶりな気がする~」
「ったく、今日9時にスタジオ入りなんだぞ。急げよな」
「うん」

ただでさえくせ毛だというにもかかわらず、寝ぐせもすごい。

それをレンがいつも直してくれる。

弟どころか姉状態だ。

「よし。くせ毛レベルに直った」
「いつもありがと。さて、着替えなきゃね」
「あと10分後には家出るぞ」
「はーい」

ちなみに、レンの前世はあたしの召使だった。

夢の中の話ではあるが、普段の生活から本当にそうなのではないかと感じる。

今日もあたしはレンとおそろいの衣装を着てスタジオへ向かう。


―――『笑って』―――


君のおかげで毎日が楽しいよ。

あたしのあの思いは届いたんだね。

「おい、ボサッとしてるとおいてくぞ」
「あ、待って待ってー!!」



―――アレン、ありがとう。









ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

悪ノ娘と召使 Rin side. 後編

現代にきました。

次回最終回。

全4話の予定なので、脱走姫様はこれを全て書き切ってしまってから再開します。

本家様↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2916956
悪ノ娘

http://www.nicovideo.jp/watch/sm3133304
悪ノ召使

閲覧数:686

投稿日:2012/07/07 19:04:20

文字数:923文字

カテゴリ:小説

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