「誰か呼んでおくれ」
昔むかしあるところに 誰からも必要とされなくて
一切求められない そんな可哀想な男がいたらしい
どうしようもなく運もなく 外に出ればいつも大雨に打たれ
傘もなく泣いていたそうな 明日も消え去ってしまいそうな
地道に汗を流して賢明に真摯に 働いて働いて働いていた
そんな時もあったんだそうな 今や嘘に見えるが本当の話
いつのことだったか誰かが 男の名前を呼んだことがあった
ただ呼んだだけなのに 嬉しさを隠せない男
でもただそれっきりで それからというものの 誰も男の名前など
いつまでもいつまでも 呼ぶことはなかったとさ
まだ生きているのか
時は流れあるところに 誰からも必要とされなくて
一切求められない そんな可哀想な男がいるらしい
昔むかしあるところにも 同じような男がいたということ
いつまでも生きているそうな 今もここにいる不気味そうな
寂しい 孤独 助けて いつまでも 死んでも死にきれず生きていた亡霊男
自分だけじゃなかったと気づき 成仏したんだとさ めでたしめでたし
最期の最期で男が 誰かを励まし続けていたそうな
名前を知りたくても 知る術もないままに消えた
ただ名前を呼ばれる そのありがたさなんて 誰も知る由もないまま
いつまでもいつまでも 呼ばれる人は決まって
誰か呼んでおくれ
いつのことだったか誰かが 男の名前を呼んだことがあった
ただ呼んだだけなのに 嬉しさを隠せない男
でもただそれっきりで それからというものの 誰も男の名前など
いつまでもいつまでも 呼ぶことはなかったとさ
もう生きてないのか
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