さて、久しぶりの投稿です。
※注意
・カイメイ風味があります。・時代設定が、若干ズボラです。
・あくまで、私の想像です。キャラクターイメージが違う、というところがあるかもしれません。
・KAITO→海斗、MEIKO→芽衣子、となっています。
・自己設定の、架空のものが出てきます(例えば、妖怪だとか)。

以上のことが、OK!という方だけお読みください。






暗号─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
異国より来たりし、踊り子の少女の音。

のみめ゛ちさかるんうゆのけら、ふねねん゛、けけうめやはあと。
よな、めひう゜ひにほすらぬぜひやとに、むねうさすのも。


─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─



「──って、分かったとか‥冗談じゃねぇよなぁ?疑ってるわけじゃないけど‥‥」

蓮が、海斗から借りた、暗号のメモを、いろんな角度に傾けてみたり、指で弾いたりしながらそう言った。

「うん!」

「じゃ、じゃあ、教えてくれない?イヤじゃないなら‥‥」

遠慮がちにそう言った鈴に、海斗は、

「うん、いいよ!じゃあ、早速説明するね!分かりにくいところがあったら、すぐに聞いていいから」

珍しく、ハキハキと、楽しそうに話す海斗。

「お、おう‥‥」

海斗にたじろぎながらも、蓮は、そぉっと海斗の隣に座った。そして、海斗を真ん中にして、鈴がわくわくしながら、海斗を見ている。

「実はね、鏡、という単語が、初めから引っかかってたんだ」

そう言って、座り直してから話を続ける海斗。

「異国の少女っていうのは、鈴ちゃんのこと。鈴ちゃんの名字は、鏡音。その子のお気に入りは、異国の鏡」

うんうんと、うなずきながら、鈴は彼の話を聞いている。

「そして、さっき出された、いろは歌。これも1つのポイント。鏡と、いろは歌‥ここから分かることは?」

「‥‥‥!そうか!」

「蓮君は分かったみたいだね、この暗号の鍵が」

ふっと、楽しそうな、それでいて、子供が何か企んでいる時のような、そんな笑みを浮かべる海斗。

「まず、普通にいろは歌を七文字ずつに並べるだろ?」

「え、なんで七文字ずつなの?」

「それは今から説明する。海斗は感覚的に分かっているだけだから、論理的に説明できる、おれが言うから」

感覚的にでしか、分かっていない海斗に代わって、いろはかるたを並べながら、表情を変えずに、蓮が説明をし始める。

「まず、『あいうえお順』だったら、普通は五文字ずつに並べようとするだろ?」

「うん、私だったらそう考えるわ」

そう言って、暗号メモと、いろは歌を書き写したメモとを見比べる鈴。

「そこでだよ、鈴ちゃん!!」

「うぉわぁっ!?びっくりしたー!」

いきなり海斗が、びしっと鈴に言ったもんだから、蓮は驚いて後ろに引っくり返ってしまった。

「ちょっ、蓮君、大丈夫?」

「あ?うん」

ちょっと心配したあと、再び鈴に向き直る海斗。

「僕ね、『あいうえお順』を聞いて気づいたことがあってね。『あいうえお順』は、『あ、か、さ、た、な、は、ま‥‥』て頭文字がテンポ良くなってるでしょ?」

そう言って、『あいうえお順』のメモを指差す海斗。

「で、いろは歌の並べ方にも規則性があるんじゃないかって思ったんだ!」

「規則性?そんなもんあるのか?」

蓮が首をかしげてたずねると、こくりとうなずき、

「だから、頭の中で、一文字ごとに行変え、二文字ずつ、三文字ずつ、四文字ずつ‥‥て並べていって、規則性があるものを探したんだけど‥‥」

そう言うと、海斗は、七文字ずつ書いた紙を、ひらっと見せた。

「七文字ずつで行変えしたときに、最後の文字をつなげたら、ある一言になったんだ」

「一言?なにそれ?」

「とかなくてしす→咎無くて死す。ちょっと不吉な感じの言葉だけど、取り合えず七文字ずつで続行」

そして、二枚の紙を床におき、ついさっき書いた紙をその隣においた。

「いろは歌を鏡文字にしてみたんだ、それでね──」

二枚の紙を隣同士に並べて見せた海斗。


いろは歌─ ─ ─ ─   

い ろ は に ほ へ と
ち り ぬ る を わ か
よ た れ そ つ ね な
ら む う ゐ の お く
や ま け ふ こ え て
あ さ き ゆ め み し
ゑ ひ も せ す ん       

鏡文字─ ─ ─ ─ ─ ─ 

と へ ほ に は ろ い
か わ を る ぬ り ち
な ね つ そ れ た よ
く お の ゐ う む ら
て え こ ふ け ま や
し み め ゆ き さ あ   
ん す せ も ひ ゑ

「例えば、暗号の最初の文字、『の』は、鏡文字では、左(から)3、上(から)4の位置にあるでしょ?元の歌では、その位置には、『う』の文字があるから、暗号の最初の文字は『う』」

隣で、うんうんとうなずく鈴。

「次の、『み』は、元の歌では、その位置に『さ』があるから、二文字目は『さ』。同じようにして三文字目は『き』」

──なるほど‥そんな風にして解いていたのか‥‥。

「そうやって、全部変えていくと──」

再び、海斗は懐から、もう一枚の和紙を取り出し、その隣並べた。

改変後─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

うさきかみちるひのゆうこく、ふたたひここへきてほしい。

なお、きんぺんにはもくひをせんていにおたのみもうす。

─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

「これじゃ意味が分かりにくいから、意味が通るように、漢字に直していくと──」

漢字変換─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

うさぎが満ちる日の夕刻、再びここへ来て欲しい。

尚、近辺には黙秘を前提にお頼み申す。

─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

「これだ!これが暗号の答えだ!!」

「でもよぉ、うさぎが満ちる日って‥何の日のことだ?それが分からないと‥‥」

蓮が不安げにそう言いかけると、鈴が、

「蓮、うさぎって月の模様じゃない?ほら、満月のときにうつる‥‥」

「それだ!それだよ、鈴ちゃん!!」

──うさぎ‥月は、一般的には、その模様を写しているという‥‥だとしたら‥‥。

「うさぎが満ちるのは‥うさぎがちゃんと見えるのは、満月の日の夜、しかも、秋は日が短いから、夕方でも見える‥だとしたら‥‥!」

そこまで考えて、海斗は、あることに気がついた。

「満月って‥今日じゃないか‥‥!」

「‥‥‥っ!」

外を見ると、もう、太陽が沈みかけている。

「行かなきゃ‥‥っ!!」

──あの場所に‥かんざしをひろった神社に‥‥!

蓮と鈴が駆け出すより、数倍も早く、夢中でかんざしを拾った、あの神社へと駆け出した海斗。

「めーちゃん、待っててね‥‥っ!」

彼の表情は、芽衣子に会えるかもしれない期待と、暗号の解けた自信に満ちていた‥‥。


ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

番凩・12 act2 暗号解読 ※種明かし注意

はい、やっと謎解きです!

ようやくめーちゃんに会えますよ!名探偵、海斗君!

次はいつになるか分かりませんが、次回は、カイメイ風味が入ってくると思います!ではでは~♪

閲覧数:879

投稿日:2010/08/17 16:55:10

文字数:2,918文字

カテゴリ:小説

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  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    今晩は!、続き、拝読させて頂きました!。

    解明(いや、あの、カイメイに引っかけているわけじゃないんですけど、なっちゃいましたね)編ですね。いやー、こりゃ難しいですわ。わからなかったわけです。
    1)7つずつ分ける
    の時点で既にだめでしたが、次の
    2)鏡文字にする
    は、アイデアも浮かばなかったです・・・。
    当方、あいうえお順とか、いろは歌にかけた謎が出る小説を書いたことがあるのに、うーむ、ふがいなかったです・・・。

    とはいえ、これで謎もそして”次に何をするのか”も解りましたね。さすが名探偵コ・・・海斗君!。ついでに鈴蓮の少年少女探偵団!。

    さぁ、これからはドラマティクシナリオ編ですね!。楽しみです!。

    ではでは~♪

    2010/04/19 20:56:15

    • 愛夢☆ソライト

      愛夢☆ソライト

      >enarinさん
      ご拝読ありがとうございました!返事が遅くなってすいません><;

      実は、七文字ずつで分けて、あの言葉になるのは、なんかの本で見つけたことなんです^^言語的には不吉ですが、『規則性』の1つだと思ったので、それを取り入れてみました!

      鏡文字にする、というのは、暗号を考えるときに、『鏡音リン』という名前を見てて思いつきました。髪の色も異国の子っぽかったので、『鏡』というキーワードも入れることに成功!なんとか謎解きまで漕ぎつけることができました^^

      “次に何をするのか”海斗君の今後の動向に、こうご期待!

      2010/04/25 06:25:56

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