【「何もない」 】

欲しいものを全て、手に入れられた　王国は
次に何を欲しがるのだろう
愛情さえも、ありあまって空を飛び
いつしか泣くことも忘れた頃
一人の人が　言うのだろう

欲しいものが何も、手に入らない　王国は
次に何を捨てるのだろう
悲しみさえも、海に沈めて
いつしか歌うことも忘れた頃
一人の人が　言うのだろう

信じるものが　壊された
アルバムの中の笑顔だって、偽物で
軌跡が消されて「何もない、何もない」
ここがどこだか　分からない
足跡が白く塗りつぶされた、広い世界で
まだ行かなきゃ行けないなんて
「何もない、私をかかえたままで」

この世の果てで、まるで生まれた時のように　泣いた
声にならない声は、雲を切り裂き　空を駆けた
一番、手に入れたいものは、手に入らないように出来ている

生きていくために、泣きながら　求めてる

全て手に入れた、何も手に入らない世界でも、出来ること

私が私でいるために必要だったのは
こんな　簡単なものだったんだ。
どうりで、あなたにあげられるものが、少ないはずだ。