ずっと続く通りの向こうのほうに、サナギちゃんの背中が見える。
「行こう」
駿河ちゃんは言って、歩き出した。その少しあとを、リンちゃんが続く。
「ねえ。なんで駿河さんがここにいるの?」
彼女の姿を見失わないようにしながら、会話をする。
「あなたがコヨミさんへメールしたでしょ。それを聞いて。ま、後で説明するわ」
サナギちゃんは、いくつか角を曲がる。
見つからないように、追っていくのが大変だが、2人は尾行を続ける。
「どこへ行くんだろ。あいつ」
つぶやくリンちゃんに、駿河ちゃんは言う。
「さっきも言ったけど。多分このままいけば、月光企画の会社があるんだよ」
「月光企画って、こんなとこに会社があったっけ?たしか、もっと北の方にあると思ってた」
「ここにあるのは、支社なのよ。それもあとで説明する」
小声で話しながら、後をつける2人。
●ばれてるのかな?
すると、その時...。
リンちゃんのスマホの“はっちゅーね人形”が、つぶやいた。
「カクレナ」
ぎょっとして立ち止まるリンちゃん。駿河ちゃんはすばやく、後ずさりしながら、彼女の袖を引っ張った。
道のわきの家の門柱のかげに入る。
2人は、そっと首だけ出して、遠くの彼女の様子をうかがった。
サナギちゃんは、道の真ん中で突然立ち止まり、空を見上げた。
そして、周りをゆっくりと、探るように見回している。
そばらくそうしていたが、やがてまた前を向いて歩きだした。
「あっぶね~」
ふぅ、と息を吐きなしたリンちゃん。
「何よ、あいつ。アタシたち、ばれてるのかな?」
つぶやく彼女。駿河ちゃんは、首をかしげていたが、しばらくしてまた「行こう」と言って歩き出した。
●さっきもそうだったよ
「ばれてはいないと思うよ」
歩きながら言う駿河ちゃんに、リンちゃんは口をとがらせる。
「でも、あんなに用心深いのは、サナギらしくないよ」
そういって、バッグのポケットを押さえる。
「これ、しゃべったね! 助かったね。さっき」
「うん」
うなずきながら、駿河ちゃんは足を止めた。
リンちゃんと2人、近くの電柱のかげに隠れる。
向こうに見えるサナギちゃんは、しばらく歩いていたが、また足を止めた。
また、さっきのように、周囲を見回している。
その様子を見ていた、駿河ちゃんはちょっと考えていたが...。
こうつぶやいた。
「あれだよ」
そう言って、後ろの方を向いて、空を指さした。
「ん?」
リンちゃんは不思議に思って、そちらを見上げた。
晴れた空には、雲がいっぱいに広がり、ところどころ、すき間から水色の空が見える。
そして、ゆっくりと動いた雲のかげから見えたのは。
昼間の、白い月だ。
「月? あれがどうかしたの?」
「うん」
意味あり気にうなずいて、彼女は言った。
「さっきも、そうだった。サナギちゃんが立ち止まったのは、雲の間から、月が出た時なんだ」σ( ̄、 ̄=)
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