もう光らないと
やがて暗渠に至るらしい
生命をひそかに悔やみながら
不格好に成長してしまった
手足を縮めこんでいる
報われなかった日々を
振り返る 何も残らない道を
君は愛さなくてもいい
/
どこかにあると誰かが言う
わかるだろ、
どこにもない
気付くまでの旅路だった
救いのない歌をかけてくれ
夜風に眼が乾いた頃
現れるは山羊の群れ
真っ当な人々は皆寝静まった
連れ去られないよう
明日を迎えられるよう
緩やかな階段を下っていく
道連れるのは何より心が落ち着くね
/
不釣合ならば捨てて構わない
それだけが優しさで
それだけの世界を
浅ましく待つ
芽の出ない種が植わっていた
(この国では死なないための詩に価値はない)
「君が死なないための詩にも価値がある国へ行こう」
報われなかった日々を
振り返る 何も残らない道を
君は愛さなくてもいい
愛さなくてもいい
/
死ぬための詩を書き終えたとき
やっと昇る陽が
未知の色をしていてほしい
(おしまい)
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