遠く　空に消えてくハイデ
沈む　水平線にルー
響く　時計を抱いたリーケ
そして　世界が止まる

明日も知らぬ夢
モノクロの残像達が
二度と　もう二度と
帰らぬ今日を追う

夜の狭間　闇で喚く少女
眠りの街を目覚めさせないで
ただ涙だけ　息を殺し
路地裏のどこかで滅びてよ

誰も動かないで　盲でいて
愛を歌うなら眠っていてよ
噛み殺されたくないのなら
世界を止めた歯車に

遠く　花を散らしたハイデ
沈む　筏を漕いだルー
響く　鐘に囚われリーケ
そして　世界が止まる

明日も踏まぬ影
背伸びした人型達
夜が　東から
追い立てては齧った

夜の狭間　闇を駆け抜けて行く
眠りの街で泣き　水を掛ける
ただ動いて　と少女だけが
街を包む焔を叩いて

誰も気づかないわ　盲のまま
愛も忘れては眠っているの
噛み殺されたくないのだと
世界を動かそうともせず

夜空の奥　花を抱くハイデ
海の底　暗闇に埋もれたルー
時計を止めたままのリーケ
目覚めて！　と涙　少女が叫ぶ

誰か気がついてよ　瞼が邪魔！
愛を知る前にその眼で見てよ
世界を止めた歯車など
焼け付く前に壊すから


<読み>


とおく　そらにきえてくはいで
しずむ　すいへいせんにる
ひびく　とけいをだいたりいけ
そして　せかいがとまる

あすもしらぬゆめ
ものくろのざんぞたちが
にどと　もおにどと
かえらぬこのひをおう

よるのはざま　やみでわめくしょおじょ
ねむりのまちをめざめさせないで
ただなみだだけ　いきをころし
ろじうらのどこかでほろびてよ

だれもうごかないで　めくらでいて
あいをうたうならねむうていてよ
かみころされたくないのなら
せかいをとめたはぐるまに

とおく　はなをちらしたはいで
しずむ　いかだをこいだる
ひびく　かねにとらわれりいけ
そして　せかいがとまる

あすもふまぬかげ
せのびしたひとがたたち
よるが　ひがしから
おいたててわ　かじいた

よるのはざま　やみをかけぬけてく
ねむりのまちでなき　みずをかける
ただうごいてとしょおじょだけが
まちをつつむほのおをたたいて

だれもきづかないわ　めくらのまま
あいもわすれてわねむうているの
かみころされたくないのだと
せかいをうごかそともせず

よぞらのおく　はなをいだくはいで
うみのそこ　くらやみにうもれたる
とけいをとめたままのりいけ
めざめてとなみだしょじょがさけぶ

だれかきがついてよ　まぶたがじゃま
あいをしるまえにそのめでみてよ
せかいをとめたはぐるまなど
やけつくまえにこわすから