「このバンドが出る、絵本のお話だったら、面白くなりそうね」
彼女は笑って言った。
出版プロデューサーとしてのカンが、そう思わせるのかも知れない。
「ですよね。僕も期待しているんです」
コヨミ君は、笑顔でうなずいた。そして、続けた。
「絵本を通じて、ひらいさんも今後、音楽やバンドとの関わりが、増えられるかと思いますよ」
彼女はうなずいて、胸の前で手のひらを組んだ。
「うん、そうですね。これから、いろいろ音楽のことも、コヨミさんにお教え頂けたら、うれしいです」
「もちろんですよ。できる限り、お助けしたいと思います」
彼は、大きくうなずいた。
●ロビーにはライブの余韻
絵本の打ち合わせを終え、2人は喫茶店を出る。
ホールの小さなロビーは、観客であふれていた。
先ほどまで演奏していたバンド、「キステン」の演奏は、少し前に終わったようだ。まだ熱狂の余韻が、会場に渦巻いているようだった。
コヨミ君は、ひらいさんに言った。
「ちょっと、ここで待っててみましょうか。もしかしたら、“キステン”のメンバーが通るかもしれません」
「えっ?ほんと?」
目を見開いて、彼女は人ごみに目を凝らす。
彼は言った。
「彼女たち、ここで演奏した時は、終わった時に、ロビーに来ることがあるんですよ。たまに、ですけどね」
ちょっとワクワクした様子で、ひらいさんは、ホールの通路の方を見つめていた。
しかし、残念ながらその日は、キステンのメンバーは、ロビーに出てこなかった。
ホール裏の関係者通路から、帰ってしまったらしい。
●絵本にいっしょに登場?
「ああ、きょうは来ないみたいですね」
コヨミ君のつぶやきに、彼女は肩を落とす。
「そうなの。ザンネン」
そう言いながら、ふと、ロビーの入り口近くの机の上に、目をやる。
そこには、このライブハウスで行われる、ライブやイベントのチラシや告知が、たくさん置かれていた。
そのなかの1枚を、手に取る。
「あら、これ、CDの発売のお知らせ?」
彼女がとりあげたチラシには、“「キステン」、遂にメジャー・デビュー!メジャー・1stシングル「ぼくたちの星」、2018年1月、全国発売 !!”と書かれていた。
「まあ、メジャー・デビューって、全国でCDが発売されることを、言うのかしら?」
コヨミ君は微笑んで言う。
「ええ、まあそうですね。おおよそですけど、合ってます。」
「楽しみですね。このバンド、さっきの演奏、私、気に入りました」
楽しそうに言う、ひらいさんを見て、コヨミ君は、今日、ライブに連れてきて良かったな、と思った。
彼女は、そのチラシの横にある別のチラシを手に取る。
「あら、これ。絵本に出るっておっしゃった、バンドでしょ」
それは、ライブハウスで来月に行われる演奏の告知だった。
対バン(共演)として、「シグナル」と「キステン」が、予定されている。
そのチラシを、じっと見つめていた彼女は、こうつぶやいた。
「ねえ、コヨミさん。“シグナル”と一緒に、絵本の中に“キステン”も、登場させては、どうかな?」o(・ェ・o))((
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