【第8話】

どのくらい意識を失っていたか、
全く覚えていない。

嗚呼、また蓮はいなくなっちゃうんだ。
ただそう思った。

その時。



「―――――――ぇ、ねぇ、ねえってば!」

聞き覚えのある声とばちんっ、という音に
はっ、と目が覚めた。

さっきの声の主に叩かれたであろう頬がひりひりと痛む。
こんなことをするのは私の知り合いでは一人しかいない。
初対面であろう人の頬を思いっきり叩く人は。



「あ、やっと起きた!
 ぶっ倒れてるからビックリしたよー。」







――――未来さん。
3年前の。中途半端なツインテールの。


「あ、あの、助けてくれて、有難う御座いま...」
「あっれー?凛?凛だよね?」

貴方という人は....!
下を向いて、出来るだけ声を変えて言ったのに...
何で、未来さんにしても蓮にしてもすぐ気が付いちゃうんだろ。

そんなに私変わってない?
それはそれでショックなんだけど...。

「ん?凛?凛だよね?ねぇねぇ、りーん!
 りーん、凛、凛!ねぇってば―――――。」
「違いま!....す。」

―――――やってしまった。
あげてしまった。顔を。
未来さんはまるで宇宙人をみたような
凄くビックリした顔で私を見つめている。

だって、未来さんが『凛』を連呼するから。
つい上げちゃったじゃない。

「わあ!やっぱりそっくり!」

がばあっと未来さんが抱きついてきた。
え、どういうこと?

「やっぱり、君、凛そっくりだねー。
 あ、もしかしてお姉さんとか!」

うん?これは未来さんの妄想が炸裂している...
全然違うし、寧ろ本人なのだが、これはこれで丁度いい!

「は、はい!
 い、いつも凛がお世話になって...」
「そういえば!何で此処で倒れてたの?」

またもや遮られてしまった。
仕方ない、未来さんはこういう人だから...。

未来さん=脳天気、マイペースその他諸々...

「それはですね、えっと...」

あ、そうだった。蓮!

「すいません。私すぐ行かないといけないところがあって...!!!」
未来さんの体をばっ、と突き返し大声で言った。

えーつまんなーい。などど未来さんは文句を言ってるが、
聞いてらんない。急いで自分が走ってきた方向へと駆ける。
行く途中、くるっと後ろを向いて
もう私とは反対方向を向いて大声で

「未来さん!助けてくれて有難う御座いました!」

と、叫んだ言葉は届いたかな。
返事を待たずにまた走り出したけど。
きっと、待ってても返事は返ってこない気がする。
だって、未来さんは、そういう人だから――――――。



























































「やっぱ、凛じゃん。」




だから、未来さんが微笑みながら
こんな言葉を呟いたなんて、全然知らなかった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

TimeSlip.

もうすぐ終わるかな...。

閲覧数:137

投稿日:2012/09/09 19:30:15

文字数:1,216文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • しるる

    しるる

    ご意見・ご感想

    え?そうなの?
    「やっぱ、凛じゃん」って……二コリのイメージでしたw

    ミクが「未来」って名乗ってないのに、凛が「未来さん!」って呼んだからかな~ってw
    未来は抜けているふりだな!うん!ww←決めつけ

    2012/09/22 01:51:49

    • つかさ君

      つかさ君

      またまた、まとめて此処に(すいません←

      しるるさんが鋭すぎて何も言い返せないですーww
      いや、でもまだ秘密です
      当たってるなんて言いません←

      2012/09/22 08:37:47

  • イズミ草

    イズミ草

    ご意見・ご感想

    ミク、なんか裏の顔がありそうな気がする…。
    それは「やっぱ、凛じゃん。」
    を、低音で、再生してしまったからなのか…?

    終わるの!!?

    2012/09/09 19:38:04

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