A
蜘蛛の糸を伝う雫は
世界を逆様に映す
B
枯れた花の名残は
誰に寄せるでもなく
永い時を孕んで
芽吹きを待つ胤(たね)を残す
S
ここに確かに留まる記憶
永久(とわ)と刹那の名を持ち
静かに目覚めと 眠りを繰り返す
それは 急ぐ蝶の輪廻
A
空の隙間を埋める色彩
いずれも同じものでなく
B
朽ちた翅はしばらく
役目を終えたあとも
風に舞ってひらめき
安らぎと祈りを運ぶ
S’
いずれ途切れるとしても巡れ
凍る氷雨に打たれて
それでも紡がれ 螺旋を織り上げる
さざめき 揺れる胸の調べ
S
ここにわずかに留まる記憶
無垢を壌(つち)へと帰葬し
静かに目覚めと 眠りを繰り返す
それは 急ぐ蝶の輪廻
急ぐ蝶の輪廻
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