突然、子供の泣き叫ぶ声が響き渡った。
「何!?」
祖母の家に泊まりに来ていた私は驚いて部屋を出た。
声のする方へ行ってみると、そこには金髪で着物を着た双子の子供がいた。
「うえぇ~ん、鞠が、大事な鞠がぁ~!!」
「ごめん、リン。泣かないで」
二人の傍に壊れた手鞠が虚しく転がっていた。
どうやら男の子が女の子の手鞠を壊してしまったらしい。
「…あっ、人間の子がいる!! この家にはお婆ちゃんしかいないはずなのに…」
男の子が私に気が付いて、目を丸くさせた。
女の子の方も私を見て泣き止み、目に残った涙を拭った。
「こんにちは、私、ミク。この家に泊まりに来てるの…ところで、君たちは…?」
私は双子にさっきから思っていた疑問を投げかけた。
「僕たちは座敷童子。僕はレン。こっちはリン」
「ザシキ…ワラシ?」
二人を見つめていると昔、祖母に教えてもらった座敷童子の話を思い出した。
『ミクちゃん、この家には座敷童子がいるんだぁ」
『ザシキワラシ?』
『んだ。運が良ければ見れるかもねぇ~?』
我に返ると、目の前には祖母の話に出てきた二人がいる。
私は不思議な気持ちになった。
「それでね。お姉ちゃん。レンが私の大事な鞠を壊したの!!」
リンが涙目でレンを指差しながら私に訴えた。
「仕方ないだろ? 蹴鞠が無かったんだから」
レンは頭を掻いて言いわけっぽく呟いた。
私は手鞠を手に取って、何とか直せないものかと眺めてみた。
しかし、パックリと割れた手鞠は私の力ではどうしようもなかった。
「ちょっと、待ってて!!」
私は急いで借りている祖母の部屋に向かった。
何か手鞠の代わりになるものを探した。
「……んっ?…これなら…」
私は昔遊んでいた紙風船を見つけると、すぐに二人の元へ向かった。
「…えっ…?」
二人の姿はどこにもない。
家じゅうの部屋を探しても二人を見つけることは出来なかった。
「おんや? どうしたの。ミクちゃん」
二人のいた部屋で紙風船を持って立ちつくしていると、祖母が畑から帰って来た。
「お婆ちゃん。双子の座敷童子見なかった!?」
私はお婆ちゃんに駆け寄った。
「いんや? 座敷童子見たんかい? よかったんね~」
お婆ちゃんはのんびりとした口調で言うと、私の頭を撫でてサッサと台所へと行ってしまった。
私は紙風船を膨らませ、軽く弾ませた。
紙風船はふわりと上昇して、下降する。
縁側からそっと優しい風と一緒に子供の笑い声が聞こえた様な気がした。
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