練習を終え、マンション下二階の渡り廊下に出た私の耳には、先ほどまでは聞こえなかったコオロギの鳴き声が入ってきた。
途切れることなくなり続けるそれに、私は何かを感じた。
今年初だからだろうか?
それとも、汗を流した後に心地よい風と共に聞こえてきたからだろうか?
今まではうるさいとしか聞こえなかったそれは不思議なよさを伴っていた。
少し歩き、先ほど聞こえていたコオロギの鳴き声たちが後ろのほうに遠ざかっていき、音も小さくなってきたかと思うとまた前のほうに新たな一団を見つける。
その秋を思わせる雰囲気に私は一句を詠みたくなった。
瞬間。
昔の短歌が皆こんな感じだということを思った。
(これがもしかして平安時代などに言っていた風情?)
そう思うと、コンクリートで飾られたこの二階も何か平安時代に見えてくる。
私はマンションのドアを開く。
コオロギの鳴き声が聞こえなくなった。
名残惜しいが家に帰らないわけにはいかない。
エレベーターに乗り込む。
自分の住む階につき、自分の家のドアにたどり着くと「ガチャ」と開けて中に入る。
風邪を通すために窓を開ける。
すると。
自分の家にまでコオロギの鳴き声は届いていた。
私はついその鳴き声に聞き入ってしまう。
これこそが風情があるというのだろう。
今日、私は初めて秋が来たと思うのだった。

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命の鳴き声

こんにちは
ヘルフィヨトルです
読んでいただきありがとうございます

今回はほぼノンフィクションですね
というか、ノンフィクションですw
なので、とても短いです
すみません^^;


読者の皆様にワルキューレが微笑むことを

閲覧数:186

投稿日:2009/09/02 21:46:14

文字数:563文字

カテゴリ:小説

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  • ヘルケロ

    ヘルケロ

    ご意見・ご感想

    >mixさん
    秋は風情を感じますよね^^
    月が本当に綺麗になってきました

    >Na-Aさん
    秋の風いいですよね^^
    ほかと全く違う何かを感じます

    2009/09/05 17:46:48

  • Na-A

    Na-A

    ご意見・ご感想

    秋の風は良いものですね
    私の家にも様々な音色が響いてきますよ

    2009/09/04 23:08:04

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