ミクは女王からもらった闇夜花の花びらを首飾りにし、夢かなぶんの光に導かれ、ナイトメアの世界の回廊を歩き始めました。
暗い道の両脇には、壁があるように思えましたが、それが本当に存在するかはわかりませんでした。
壁には色彩が渦巻いていましたが、その色彩が移り変わってゆくうちに壁は消えあたりは様々なもやで満たされるのでした。しばらくすると色彩のもやはまた壁になり、ナイトメアの回廊を形作るのでした。
ミクは夢かなぶんに話しかけます
「不思議ね。様々な色彩が世界にあふれている。そうね、これはまるで音楽のようだわ。いろいろな色彩が合わさって、いろいろな思いを形作るの。」
夢かなぶんにミクの言ったこと分かったのかわからなかったのかは、わかりませんでした。
ただ、身にまとう光をわずかに点滅させて、ミクのまわりを飛び回りました。
ミクは飛び回る夢かなぶんの光に照らされながら、ナイトメアの回廊の色彩の中で歌い始めました。
あなたの心の色
空の色をうつしたら
色彩の星々の道をゆく
風のように透明なまま
あなたは虹をまとう風
輝くまま 微笑み
やさしさでつつむ
風のように透明なまま
ミクが歌っていると、ミクの前で夢かなぶんが突然進むのをやめました。
ミクに立ち止まるように言っているように思えます。
ミクは夢かなぶんが止まったのには気がついたのですが、ミクがあるくことを止めるのには間に合いませんでした。
ミクが進もうとすると、
「危ない」
という声がして、ミクは突き飛ばされました。
ミクがいた場所には雷が落ちたようでした。
空を見ると不気味な色が移り変わる雲の塊がありました。
ミクの目の前には、黒い馬のような動物と、それに乗った女の子がいました。
黒い馬に乗った女の子は長い金髪を腰まで伸ばし、黒に赤い飾りのついた上着とスカートをはいていました。
黒い馬に乗った女の子は言います。
「危なかったわ、あなた闇嵐の雷にうたれて夢のもくずになるところだったわ。
わたしは、ナイト・ダルク。
このナイトメアの世界で人々を夢嵐から守っているの。
あなた名前は?」
「初音ミク、よろしくね。」
「初音ミク...。わたし、知っているわ。
この世界のいろいろな人の夢に出てくるわ。
そして、ナイトメアの黒い夢が心をおおいつくすことから助けてくれる。
会えてうれしいわ。
夢の世界の歌姫。」
ナイト・ダルクはそう言って、ミクに微笑みました。
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