ガチャ…

僕は漆黒の扉を開き中に入る。部屋の中は白と黒に固められている。今僕が入ってきた扉も真っ黒だったが、天井は白、丸い机は黒、壁は白で2脚の椅子は黒と何もかもが白と黒だった。そして、その椅子の1脚には歌を歌っている少年が座っていた。

「いらっしゃい、僕。僕の名前はレン。」
少年はレンと名乗り僕に椅子を勧めてきた。僕は言われるがままに黒い椅子に座り、出された白いカップに入った黒いお茶を飲んだ。レンは僕にお茶を出した後また歌いだした。僕は歌っている彼に悪いと思いながらも彼に質問をした。

「ねえ、ここはどこなの?」
彼は口を一度閉ざして、知らないと答えた。

「じゃあ、なぜここには白いものと黒いものしかないの?」

「ごめんね、それも僕には分からないんだ。」
僕はレンの答えに肩を落とす。しかし、レンは続ける。

「でも、色の増やし方なら知ってるよ。」
そういうと、レンはまた歌いだす。すると、僕の座っている椅子の色が徐々に薄くなりだし、茶色へと変わった。僕は驚き声を上げた。

「ふふ、すごいでしょ。僕は歌うことで色を増やすことができるんだ!これだけは知ってるよ!」

「すごいすごい!!」
興奮したように僕が言うと、レンも無邪気に喜びだし、興奮したようにまた歌いだした。お茶のコップに柄が浮かび、残りの机と椅子も茶色へと変わった。レンの歌が大きくなるのに伴って、色は広がっていった。天井には光が差し、壁際に置かれていた花瓶は水色へと変わり、挿してあったのは赤い薔薇だったと判明する。しかし、気のせいだろうかさっきから歌い続けているレンの身体が薄くなっているように感じる。

「ねえ、レン。なんだか君の身体薄く…」
僕がそう言うが、レンの声は大きくなる一方で僕の声はレンの耳には届いていない。そのうちレンはその歌声と共に消えてしまった。

ガタンッ…

僕は怖くなってしまって、椅子から音を立てて転げ落ちる。後ろを振り返りここに入って来たはずの扉を見るがそこには既に扉なんてなかった。僕は中途半端に色のついた部屋でパニックに陥った。しかし、反対の壁を見たとき壁の一部が茶色くなっているのに気づいた。この部屋に入ってきたときには気づかなかったがそこには元々白い扉があったのだ。僕はその中途半端に茶色くなった扉に突進し、レンの部屋を後にした。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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僕―7番目の僕①―

レンマスターのmayukoさんの作品7番目の僕(http://www.nicovideo.jp/watch/nm10697814)を勝手に小説にさせて頂きました。二次創作・自己解釈満点ですのでご注意を!
原曲はとてもハモリが綺麗で完全に中毒です。

続きはこちら(http://piapro.jp/t/Ctsy

閲覧数:2,262

投稿日:2011/04/16 17:58:39

文字数:976文字

カテゴリ:小説

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