[A]
ある朝目覚めれば　時計は五時半を指す
そして気づいた　今は朝だろうか
少しだけ焦って布団から首を出す
思いの外寒くてすぐに引っ込む

[B]
こんなにも冷たい世界にしたのは誰だと
愚図っても嘆いても昨夜の僕だと
わかってはいたけど　政界の仕業なんだと
人並みに批判だけは上手くなった

[S]
こんな人生なんてやってられない
カラスが告げてる　朝はまだやってこない
僕は今ここで腐ってなどいない
されどこれ以上　熟れることもない

[A]
陽が落ちて夜が来て　窓を叩く雨音
そして気づいた　まだ梅雨だろうか
少しだけ気になる　ふと思って気になる
三秒経てばもうどうでもよくなる

[B]
こんなにも地球の回転は遅いから
止まっても寝込んでも大したことないと
僕は知ってるんだよ　世界は優しいんだよ
人並みに期待だけはしているけど

[S]
そんないつまでも走ってられない
みんないつまでも走ってられない
僕は今ここで走ってなどいない
だからいつの日か走っていける

[C]
今に見てろきっと必ず追い抜いてやる
この指先一つでいつかは遠くなる
自己暗示
まるで詐欺を隠すような話
あの兎と亀のような話