~この作品はぬるいですが性的な表現があります。
苦手な方はご遠慮ください。~
ラストダンスを待たず、カイトは舞踏会を後にしていた。
正直、ミクが他の男と楽しくしているのをこれ以上見たくはなかったのだ。自分でそう仕向けたくせに。とカイトは自嘲した。
もう、疲れた。
部屋に戻り、着替える気も起こらずそのままの格好でカイトが椅子に座り込んでいると、ばたん、と大きな音を立てて扉が開いた。
怒りで瞳を燃え上がらせたミクがそこには立っていた。カイトが帰ってから間がない。ミクを迎えにやった馬車はまだ舞踏会の会場にすら着いていない頃だろう。
「早かったな。ラストダンスまでまだ間がある。もっとゆっくりしてくれば良かったのに。」
そうカイトが言うと、ミクは、メイコ様が送ってくださったの。と言った。
「カイトが帰ってしまって、一人途方にくれていた私を、メイコ様が助けてくださったの。」
「そうか。」
素っ気無くカイトは返事をする。その冷たい態度にミクがかつかつと足音高く近づいた。
「何故、私を置いて先に帰ったの?」
怒りに震える声でそう問いかけてくる。怒りと困惑で染まったミクの瞳から目を逸らし、カイトはなんでもない。と言った。
「別に、なんでもない。少し酔っただけだ。」
「嘘。なんでもない訳がないわ。」
なんで、とミクは怒りを滲ませてカイトに詰め寄った。
「やっぱりカイト、私から離れようとしているでしょう?違う?」
激情はミクを美しくさせる。血の通った体は熱く、ミクをただの人形ではなく一人の女性にさせる。まるで花が開き匂い立つように、カイトを誘惑する。
「ミク。落ち着いて。」
何とか理性を保とうと、ミクを宥めようとカイトはしたが、駄目だった。
激情から、ミクの瞳から涙が零れ落ちる。
「私は、カイトのことが好きよ。傍にいたいの。なのに、こんなのって、無いわ。」
零れ落ちた涙を拭わず、ミクがそう言い放つ。
駄目だ。と思った。
カイトはその手を伸ばし、ミクを捕らえ、花びらのような唇に自分のそれを重ねた。そして深く、口付ける。
深い口付けにミクが吐息を漏らす。抱きしめる指にミクの長い髪が絡まる。白く細いうなじにカイトが唇を這わせると、ミクは戸惑うように小さな悲鳴を上げた。
「カイ、ト。」
不安げに揺れる声で名を呼ぶ。その声にカイトが顔を上げると、腕の中、ミクの瞳に怯えの色が混ざっていた。
後悔が一気に押し寄せてきた。
抱きしめていた腕を解くと、ミクはその場に座り込んだ。涙で滲んだその瞳は、驚いたような怯えるような色でカイトの事を見上げてくる。
「ごめん。」
そうカイトは苦々しげに呟くと、背を向けてミクを残し部屋から出た。
汚したくはない。それなのに本能に逆らう術がない。
もう、ミクの傍にはいられない。
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