――視界が霞む中、私は泣いている子供たちの名を呼んだ。


どこへ向かっているのかわからない。
それでも、大切な子供たちが目の前で連れ去られて、そのまま見送るなんてことはできなかった。

「待って! 返して、私の子なのよ!」

叫んでも叫んでも、黒いローブの女には届かない。
慣れない森の夜道で赤い服の女は何度も見失いかけたが、赤ん坊の泣き声を頼りに、ただただ走るしかできなかった。

「リン! レン!」

女は泣きながら我が子の名を叫ぶ。



ここにいる

たすけて

こわい


おかあさん どこ?



赤ん坊たちの泣き声は次第に弱くなっていく。
疲れているのか、黒いローブの女の足取りも遅くなっていた。
そうして走っているうちに、一軒の明りの灯る家が見えてきた。

このまま、あの子たちを失うの?

「待ちなさいよっ!」

女は勢いよく、手を伸ばす。
ローブ越しに相手をとらえたはずの手は、空を掴む。

瞬間、女に衝撃が走る。
勢いをつけていたせいか、走り疲れていたせいか、女は黒いローブと共に地に倒れこんだ。
ずっと持っていた籠が女の手を離れて、転がる。
起き上がろうと視線を上げると、そこには緑の髪の女が立っていた。

「……この子たちは、私の子よ。誰にも  渡さない」

緑の髪の女は何か固いモノを振り上げる。
風を切り裂く鈍い音が女を襲った。



倒れ、生き絶えようとする女の視界の片隅に映ったのは、ミルクの満ちたガラスの小瓶。



――泣かないで、私の可愛い子供たち。

――母さんが、守ってあげる。

――さぁ、一緒に帰りましょう。あの人の元へ……


ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

【勝手に自己解釈】moonlit bear~epilogue~

悪ノPさんの「moonlit bear」を仕事(作業)中に自己解釈したものです。

絞り出して、これがやっとでした……。

ちなみに凶器は特に意識してないです。
動画のイラストで見る限り、薪とか置いてあったんで、農具とかもありそうですから、なんでも凶器になりそうですし。っていうか、実際なんでも凶器になり得るのでそこは、ほら。
自己解釈でいいと思います。

閲覧数:210

投稿日:2010/06/25 11:55:17

文字数:690文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • ものくろウサ@更新停止

    moonlit bearを最近聞いたんですが、曲通りで面白かったです><
    MEIKOが必死に赤ん坊(とミク)を追いかけてるところとか、凄く臨場感がありました!
    個人的には特に、最後のMEIKOの台詞に涙腺崩壊しましたT△T
    母親として最期まで子のことを考えられるって、ほんと凄いなと。
    素敵作品、ブクマさせていただきました。ご馳走様です>▽<ノシ

    2010/07/30 10:42:39

    • 久遠@御用の方はメッセお願いします。

      久遠@御用の方はメッセお願いします。

      ふおぉぉ!? ブクマありがとうございます!!
      まさか、これにブクマしてもらえる日がくるなんて思ってなかったので、すごく嬉しいです!
      【moonlit bear】は「絵に忠実に…!」をモットーにして書きました。なので、曲通りと言っていただけてホッとしておりますw
      MEIKOはきっとどんな時でも母性を見失わない人だと信じてます!(`・ω・´)

      2010/07/30 19:33:51

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