第六十二話 闇に染まる

 いつまでたっても闇は晴れない。

 いつまで経ってもこの気持悪いほど安らかな空間で、独りでいるしかないのか。
私は―――独りなのだ。

 「もう……無理なのかも……」

 そう呟いた。

 つぶやいったって、誰かが答えてくれるわけでもない。

 
 何故だろう。
誰か男の人が脳裏に浮かぶ。
 何故だろう。
とても、愛しい。

 愛しい。

 懐かしい。



 懐かしくて―――堪らない―――。





 ここは、どこ?
 私はだれ?

 そんなありふれた言葉だって出てきてしまう。




 「誰か……」





 こう言っても、誰もいないことくらい、わかってる。

 もう、泣いているのかさえ分からない。












 『やれやれ、困ったやつねえ……』





 あきれた声が聞こえた。
否、音だ。限りなく音に近い。

 でも聞いたことがある、これも懐かしい声。




  



 『あなたは、ここにきてはいけない。戻りなさい』

 「どうやって? もう、何も思い出せないのに」

 『もう……困った子ねえ……』






 
 そう言ったすぐ後、誰かに腕をひかれた。










 『私が助けてあげる』

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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ノンブラッディ

閲覧数:78

投稿日:2013/04/19 20:57:18

文字数:535文字

カテゴリ:小説

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  • しるる

    しるる

    ご意見・ご感想

    お?おぉ?
    これは……あの子ですか!
    あの不思議全開の女の子ですか!←

    2013/04/20 16:31:26

    • イズミ草

      イズミ草

      不思議全開……ですねwww
      さてさて、その予想は当たっているのか!?
      乞うご期待ですw
      まあ、ほぼ当たってると思いますがww

      2013/04/20 20:21:53

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