*安定のルカミク
*そして初めてかもしれないハッピーエンド
*学生物
ねえ、ミク
3月といえば貴方は何を思い浮かべる?
「3月?」
寒さの残る2月
そう、今日は2月だ
窓の外では雪がチラチラと降り、吐く息は真っ白になり、冷えた鼻は赤くなって寒さを訴える。そんな季節
それでも私がききたかったのは3月のことだった。
ミクは3月ときいて何を思うんだろう
「そうだなー、おひなさまとか?」
3月3日
女の子の日でもある、ひな祭り。そういえばそんなイベントもあったわね
そう返すとミクは私の返事が不服だったかのようで、制服から伸びた足で雪を蹴った。
私の足に少しかかる。
「わ、ごめん!冷たかった?」
冷たかったわ
正直に答えると、ミクが笑った。
そんな風に笑っても誤魔化されないわよ。
高校に入学してからの三年間で、この笑みに何度騙されたか
何だかそれを思い出すとムっとして、お返しにミクの長い髪を軽く引っ張った
「もー!髪の毛は痛いよ。・・・それで、なぞなぞの答えは?」
なぞなぞ?
そんなのやっていたかしら
考えて、ああ、さっきの問いねと思いだす。あれはなぞなぞじゃないんだけれど
「なぞなぞじゃないの?じゃあ何?」
ただ、純粋にきいてみただけなの
もうすぐ3月ねって
「そうだね。・・・あ!、3月って言ったら、花粉もあるよ」
花粉・・・。
ミクは花粉症だったかしら。
今まで一緒にいたけれど、そんなに苦しそうには見えなかったわ
「うん、私は花粉症じゃないよ。花粉症は・・・リンちゃんだったかな」
リン
そう言えばリンは早々に推薦で専門学校に決まって、受験組から外れていた。
受験で苦しまなかった代わりに、来春は花粉症で苦しむのだろう
「またそんなこと言って。ルカちゃんだって決まったから良いじゃない」
そう、先日届いた通知は合格で
私も晴れて受験戦争から身をひくことになった。
ミクとは違う学校だけれど
「ねえねえ、3月って言ったら、ホワイトデーもあるよね!」
そういえば、バレンタインデーにミクからチョコを貰ったわね
受験で毎日登校はしないけれど、たまたま14日登校日で。
ホワイトデーはお返しした方がいいのかしら
「ううん、大丈夫。だってルカちゃんもチョコくれたでしょ」
そうね
私のは市販だったけど。
それにホワイトデーはもう私たち、学校にいないし。
「・・・・・・うん」
ねえ、ミク。3月って
私は言おうとして、ミクをみた。
でもミクは、私をみてくれなかった。
白い地面をみて、無言で歩いている
ねえ、ミク。
本当はわかってたんだよね、私が3月の話題を出すってことは何が言いたいか。
私たちは受験生で、高校三年生だ。
「・・・・・・別れたいの?」
絞り出すように小さな声でミクは言った。
そして、ミクがこう言うと私は思ってた。
重い沈黙が私を押しつぶしそうになって、ため息をつく
ミクが緊張しているのがわかった。ミクって、緊張すると身体が震えるわよね
震える手を、手袋越しに握ると更に震えが伝わってきた
「卒業ね、ミク」
コクリとミクはうなずいた。
私とミクはそれぞれ違う進路を選んだ。卒業したら、学校じゃ会えなくなる
だから、ミクが私と別れてしまうんじゃないかと心配しているのは知ってた。
ミクはわかりやすいから。
嘘つく時とか、絶対に私の方を見ないわよね
そんな風に真っすぐな貴方だから好きになったのよ
「ねえ、ミク。私たち大学生になるでしょう」
ミクは私の方を見ない
地面をみていたって、ただ雪がおちて積もるだけで面白みなんて無いでしょうにただ見つめている
私を見てほしい
握ったままの手袋を握ると視線が上に上がってきた。
綺麗なエメラルドグリーンの目と私の目がやっと合う
「大学は、離れてしまうじゃない。だからね」
離れてしまうなら、その分近づけば良いと思ったの。
握っている手を自分の方に引くと、ミクの身体が私の方へ倒れてきた。
その冷たい身体の、頬にキスをして耳元で内緒話をするように小さく話す
実際に誰にもまだ話したことない、私だけの考えだったんだけれど
「一緒に暮らしましょう」
「・・・・・・ッ、うん!」
ミクは一瞬息をのんだけれど、片手に持っていた傘を放り投げて私の身体を抱いた。
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