永遠の落日に　倒れた旅人
　それが貴方だと　気づかないままに
　私は独り　涙を零した
　「なにをきいてたの？」　詰る声がする



　遠い水面の　果ての果て
　誰も知らない　世界へと
　縋る声と手　振り払い
　消えた背内は　何思う？

　空に朝に　海に唄う
　貴方が好き　と褒めた歌
　風に雲に　乗せて何時か
　貴方の元　に届くかな

　「せかいのおわりを　いっしょにみようね」
　何時かの二人が　交わした約束
　離れた小指の　糸が攫われて
　水面の果てへと　旅立っていった



　滲む風景　霞む記憶
　「どこにいるの？」　「なにしてるの？」
　星に夜に　花に波に
　囁く声　揺れて落ちた


　永遠の落日に　倒れた旅人
　それが貴方だと　気づかないままに
　私は独り　昨日切り捨てた
　「なにをみていたの？」　責める声がする
　　　　
　帰らぬ貴方の　夢に焼け爛れ
　私の心は　耳を目を塞ぐ
　空と海の青　混ざらない姿
　まるで私達　みたいねと自嘲い

　私は独り　想い投げ捨てた
　「なんてつみぶかい……」　嘆く声がする



―――――*―――――*―――――*――――



Ｓ
　とわのらくじつに　たおれたたびびと　/8+8
　それがあなただと　きづかないままに　/8+8
　◎わたしはひとり　なみだをこぼした　/8+8
　なにをきいてたの　なじるこえがする　/8+8



Ａ
　とおいみなもの　はてのはて　/7+5
　だれもしらない　せかいへと　/7+5
　すがるこえとて　ふりはらい　/7+5
　きえたせなかは　なにおもう　/7+5
Ｂ
　そらにあさに　うみにうたう　/6+6
　あなたがすき　とほめたうた　/6+6
　かぜにくもに　のせていつか　/6+6
　あなたのもと　にとどくかな　/6+6
Ｓ
　せかいのおわりを　いっ(しょ)にみようね　/8+8
　いつかのふたりが　かわしたやくそく　/8+8
　はなれたこゆびの　いとがさらわれて　/8+8
　みなものはてへと　たびだっていった　/8+8



Ｂ’
　にじむけしき　かすむきおく　/6+6
　どこにいるの　なにしてるの　/6+6
　ほしによるに　はなになみに　/6+6
　ささやくこえ　ゆれておちた　/6+6


Ｓ
　とわのらくじつに　たおれたたびびと　/8+8
　それがあなただと　きづかないままに　/8+8
　◎わたしはひとり　きのうきりすてた　/8+8
　なにをみていたの　せめるこえがする　/8+8
Ｓ’
　かえらぬあなたの　ゆめにやけただれ　/8+8
　わたしのこころは　みみをめをふさぐ　/8+8
　そらとうみのあお　まざらないすがた　/8+8
　まるでわたしたち　みたいねとわらい　/8+8

　◎わたしはひとり　おもいなげすてた　/8+8
　なんてつみぶかい　なげくこえがする　/8+8