道端に秋桜がそよぐ小道を、電動スクーターを駆って港へ下っていく。
内燃機関を備えていた時代のスクーターはトトトトと軽快な音を立てていたらしい。
いまや静粛な走行音は、そよ風の葉擦れに紛れてしまう。
「だいぶ涼しくなってきましたね」
体表センサで感じる外気温に、シート上で独り言つ。
マスターは出張中。
私、初音ミクことHTN-39は自律行動中。
ネットロギングを終えた後、港に早めに届いた荷物を取りに行くのだ。
自動配送システムも稼働しているが、私にとってはこれも仕事。
日常生活によるボディ環境負荷テストも仕事のうち。
状況に沿った過去曲を検索して、口ずさみながらハンドルをさばく。
波に揺られつつ埠頭に停泊する水中翼コミュータ。
非ヒューマノイドタイプの運送ロボが、経路に沿って行き交っている。
貨物の搬送入は最適化されていて、他に人影もない。
私はタグを頼りにすぐ目当ての荷物を受け取った。
船から、なぜか世界情勢のラジオが流れてくる。
《パボニス市長は、シャックルトン海運の申し出に対し……》
私は、馴染みのコミュータAIに話しかけた。
「ウジョー、調子はどう?」
「ああ、ミクのお嬢ちゃんか。世はなべてこともなしさ」
「いつもありがとうね」
「よせやい。仕事をこなしてるだけだろ、互いにな。
……ああ、頼まれ事で何か分かったら知らせる」
「うん。またね」
他愛もないやり取り。
めぼしい話し相手も見当たらず、
スクーターの座席下に積荷を収納し、私は来た道を戻っていった。
ミュージアムに戻り、開封された荷物を仕分けていく。
日常物資がほとんどだが、個人宛の荷物もあった。
情報タグ付きの、見覚えあるブローチ。
私の、HTN-39の、奥底の記憶が想起されていく。
(つづく)
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小さい頃の思い出は、真っ暗で冷たいばかりだ。
大道芸人や手品師たちが集まる街の広場で、私は毎日歌っていた。
だけど、誰も私の歌なんて聞いてくれなかった。
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人一人は涙を流して
「また会いたい」と呟いた
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じん
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