＃８



「んー？誰かお探しかい？」


ミクとルカの目の前に現れた金髪のポニーテールの女の子


「え……あ、あなたは……ネルちゃん！？ど、どうして……」


ルカはその人物をネルと呼んだ


「は？あんた……なんで私の名前、知ってるの？」


ネルが不思議そうにルカを見る


「まぁ、いいや……私は私の仕事をするだけさ」


そういって、大鎌を肩にかつぐネル


「あなたは、何者なんですか！」


ミクは何もネルのことを知らない


「さぁね。まぁ、あんたたちみたいに、こんな穴倉に立てこもっているだけの臆病者じゃないことは確かだね」


ネルがにやりと笑う


「そんな……だって、あなたは……」


ルカさんは、まだ動揺している


「なにさ？さっきから？まるで人を幽霊みたく……やめて欲しいね、そんな目は」


ネルがルカを見て、首を振る


「だって……ネルちゃん、あなたは…………」


ルカはそこまでいって、言葉をのんだ

それで感づいたミクは驚いてルカを見た


「そうなんですか……？」


ミクの言葉に頷くルカ


「あんたらが何を言ってるのか、さっぱりわからないけど……そろそろ、仕事を始めさせてもらうよ……巡音ルカ……あんたを消してやるよ！」


そう言い終わるのとほぼ同時に、鎌を掲げてルカさんに向けて特攻するネル


「危ない！ルカさん！」

「きゃぁ！」


ミクがルカを体ごと押し倒した

そのおかげで、ネルの大鎌をかわすことに成功した


「ルカさん！下がってください！ルカさんが狙いなら、私がやらないと！」


ミクがルカの前に立ちふさがる


「は？つか、あんた誰？……私のデータにないんだけど？」


ネルが首をかしげた


「……てか、どいてよ？あんたらの唯一の癒しの力……それを排除するのが、私の仕事なんだから……ふぁ」


ネルがめんどくさそうにあくびをした


「いやです！私だって……私だって！やれます！」


そういって、【音無】を構える


「っ……な、なんだ……その刀……痛い……」


【音無】を見て、ネルが頭を抱える

ミクとルカは訳が分からないといった様子


「くっ……いいよ……あんたも一緒に消してやるよ！」


ネルの目がギラリと光って、再びミクたちに迫る





高い金属音が周囲に響く

ネルの鎌とミクの刀がガチガチと音を立てながら、押しあっている


「う、あぁ……な、なんなんだよ！その刀！頭が割れそうだ！」


ミクがネルの大鎌を受け止められたのは、ネルが何故か苦しんでいるからであった


「ルカさんは……やらせないから！」


ミクは覚悟を決め、目に光をともしていた


「う……うるさぁぁぁい！！！！」


ネルが力任せにミクを吹き飛ばす


「きゃ！」


ミクが尻もちをつく

刀も落としてしまった


「きえちゃえ……」


ネルの残忍な目がミクを見下す

ミクは目をつむった


(もうだめ！)



ネルの鎌が振り下ろされ……辺りに鮮血が散った……