空を見ているのは、シニガミと言われる化け物だった。
 それは女性のような風体でもあったが、でも結局は化け物として扱われるのに性別なんて関係なかった。
 そんな昔のような、今のような、けれど現実離れのようで、空想のような話がある。



 シニガミは小さくつぶやいた。
「今日もまた、誰にも助けてくれない」
 さあさあ、彼女を助けてくれるのはいったい誰なんだろうか?
 それはカミサマにでも、助けられない、助けてくれない。
 誰も信じられなくて、誰も信じようとはしなくて。
「どうせ、人なんて死んじゃうなら」
 シニガミはそんなことをも思ってしまうのだった。



 そんな彼女は現実離れした森の奥に家を持つ。小さな、こじんまりとしたもの。だけど実際には廃墟に近いものでもある。
「……誰かいませんかぁ……」
 不意に声が聞こえて、シニガミはその方へ近づく。
 そこに居たのは、若い男だった。どうやら怪我をしているらしい。
 彼女はそれを見てぽつり。
 ――恋に落ちた。
 と言った。



 そして、二人は愛し合い、子供まで出来た。
 始まった日々をかみしめようにも、相手はシニガミ。変わりのしない風体。
 そして彼は人間。限りのある生命。
 解りきったことでもあった。
「ならば、終わらない世界を作ろう」
 彼の言葉を胸にもち、シニガミは小さく頷いた。
 だから、
 彼女は、ドアの前で待っている。
 流れる雲を見つめて、クッキーとハーブティーを二人分用意して、いつも彼が来れるように。
 だけども、そんなのは叶わなくて。
 空は、どこか寂しそうだった。
 来るはずもない。
 そんなことは彼女にだって、わかっていたはずなのに。
 ならば。
 こんな世界にいる必要はない。
 シニガミは、世界の外へ出て、森に家を構えた。
 子供はまだ小さいのに、彼女の決心は強かった。
 けれど――
 彼女はまだ、彼のことを忘れることは出来ない。



 シニガミ。
 それは、人間の世界では別の名前で呼ばれている。
 通称――“メデューサ”。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

カゲロウプロジェクト 16話【二次創作】

「目を掛ける話」。一部ネタバレがあるのでご注意ください。

次はいよいよエネ編です!!

―この小説について―

この小説は以下の曲を原作としています。


カゲロウプロジェクト……http://www.nicovideo.jp/mylist/30497131

原作:じん(自然の敵P)様

『人造エネミー』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm13628080 
『メカクシコード』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm14595248
『カゲロウデイズ』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm15751190
『ヘッドフォンアクター』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm16429826
『想像フォレスト』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm16846374
『コノハの世界事情』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm17397763 
『エネの電脳紀行』
『透明アンサー』
『如月アテンション』http://www.nicovideo.jp/watch/sm17930619
ほか

――

閲覧数:866

投稿日:2012/05/29 23:02:38

文字数:872文字

カテゴリ:小説

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  • 雪りんご*イン率低下

    雪りんご*イン率低下

    ご意見・ご感想

    ついにメカクシティデイズとカゲロウデイズ、発売ですね!
    でも買いにいけないという(´・ω・`)

    シニガミさんはきっとアノ人ですね……!
    凄いwktkです。あー欲しい……

    2012/05/30 22:44:06

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